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2007年10月25日(木) 08時02分

最大手ファンド上陸 米ブラックストーン 近く日本法人産経新聞

 世界最大の投資ファンド、米ブラックストーン・グループが日本に初進出することが24日、明らかになった。東京・丸の内のAIGビルに日本法人の株式会社「ブラックストーン・グループ・ジャパン」を近く設立、11月正式発表する。同グループは中国政府が出資するファンドで知られるが、米ニューヨーク証券取引所に上場し、自社株を対価に日本企業を買収する「三角合併」も可能だ。巨額の資金を動かせる最大手ファンドの上陸で、日本のM&A(企業の合併・買収)市場はますます活発化しそうだ。

 ブラックストーン・グループがこの時期に日本法人を設立して本格的に上陸するのは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題で世界の金融市場に動揺が収まらない中で、日本では優良資産を多く抱える企業の事業再生や、産業界で買収など大型再編がこれから本格化すると判断したため。投資案件を開拓し、グループが運営するファンドに助言を行って収益拡大を図るねらいとみられる。

 手始めに、国内のホテルなど不動産投資を手がけ、その後は企業買収に関与する見通しだ。

 関係者の話では、日本法人の代表には、ブラックストーンのマネージングダイレクターで日系人のアラン・宮崎氏が就く。新生銀行▽米投資ファンドのローンスター▽米大手証券のゴールドマン・サックス−に在籍したM&Aや不動産投資の専門家が参加、5人程度で業務を始める予定。

 ブラックストーンが日本に直接関与したのは今年4月、全日本空輸の保有する国内13ホテル買収案件で、入札に参加した程度(米大手証券モルガン・スタンレーが落札、ブラックストーンは敗退)。その後、8月に仮事務所を東京都千代田区に置き、日本法人設立の可能性を検討してきた。

 世界規模で運用資産額787億ドル(約9兆円)を誇るブラックストーンは、1985(昭和60)年に設立。米大手ホテルチェーンのヒルトン・ホテルズを約260億ドル(約3兆円)で買収したほか、中国政府の外貨準備を運用する国策投資会社から30億ドル(約3400億円)の出資を受けたことでも知られる。

 カーライル・グループ、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に加え、世界ファンド御三家がこれで日本に出そろう。日本企業も攻めのM&Aや業界再編に伴う構造改革を進めるため、世界の情報に通じた大手ファンドを活用する場面も出てきそうだ。

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【用語解説】投資ファンド

 投資家などから集めた資金で、株や不動産に投資する運用のプロ集団。業績悪化企業や事業部門を買収して再生、株式を再上場させて利ざやを稼いだり、不動産投資でビルを改修して資産価値を高め、賃貸収入を増やして投資家に配当を還元する。


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