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2007年10月25日(木) 07時59分

「けいこではなくリンチ」 目撃者が証言 力士急死朝日新聞

 大相撲の時津風部屋の力士急死問題で、死亡直前の「ぶつかりげいこ」を目撃した男性が24日、朝日新聞の取材に「けいこではなくリンチのようだった」と証言した。前・時津風親方=元小結双津竜、本名・山本順一氏=も居合わせたが、兄弟子の暴行を黙認していたという。愛知県警も男性から同様の証言を得ており、6月26日にけいこの名目で暴行があったことを示す手がかりとみて注目している。

 男性は26日午前、同部屋の総げいこを見学した。見学時間が終わって宿舎の駐車場にいた午前11時ごろ、「ギャー」と大きな悲鳴が聞こえたため土俵に戻ると、斉藤さんが土俵上で暴行されていた。3人の兄弟子が斉藤さんを取り囲んで投げ倒し、繰り返し殴るけるの暴行を加えていた。斉藤さんは「アー、アー」とうめき声をあげていたという。

 前親方は土俵脇のいすに腰掛け、暴行の様子をじっと見ていた。男性は同部屋のけいこを見て約30年になるが「明らかに相撲ではなく、いたぶっていた。こんなひどいことをなぜ親方は止めないのかと思った」と話す。

 男性によると、26日は午前10時半ごろまで時津風部屋の各力士による総げいこがあったが、斉藤さんは参加せず、土俵外でしこを踏んでいた。額が割れて顔は腫れ、腕や足など体中に切り傷や赤いあざがあったという。

 県警の調べでは、斉藤さんは同11時40分ごろ土俵上に倒れ、午後2時10分に搬送先の病院で死亡が確認された。前親方は県警や日本相撲協会に対し、25日夜の暴行は認めたが、26日は「通常のけいこ」と説明している。

http://www.asahi.com/national/update/1024/NGY200710240010.html