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2007年10月24日(水) 03時06分

力士急死の愛知、検視官出動6%…全国ワースト4位読売新聞

 大相撲の時津風部屋の序ノ口力士、斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=しこ名・時太山=の急死を巡り、検視ミスを指摘されている愛知県警が、2006年中に取り扱った変死体のうち、専門教育を受けた検視官(刑事調査官)による検視が行われたのは6・3%にとどまることが分かった。

 このほかは、警察署の刑事課員らが検視していた。検視官が現場に出動する臨場率は全国平均でも11・2%に過ぎず、検視体制の充実が求められている。

 斉藤さん急死問題では、検視官の臨場や法医解剖を求めないまま、「病死」と判断した犬山署の対応が死因を誤認した要因と指摘されている。警察庁内でも「検視官が出動すべき事案だった」との指摘がある。

 警察庁の調査によると、06年中に全国の警察が扱った変死体は14万9239体。このうち検視官が出動したのは1万6756体。愛知県警では、変死体5527体のうち検視官が出動したのは350体で、全国ワースト4位だった。

 臨場率は、和歌山(45・4%)、沖縄(44・1%)など5県警は3割を超えているが、16都県警は1割未満で、格差が大きい。

 臨場率が低迷する背景には、検視官が全国で計147人しかいないことがある。死因究明の「入り口」である検視段階の判断ミスは、犯罪や感染症などの見逃しにつながりかねず、法医学者からは体制の見直しを求める声が上がっている。

 この問題は、民主党の細川律夫衆院議員が24日の衆院法務委員会で取り上げる予定で、「解決には、新たな死因究明制度の構築が不可欠だ」と指摘する。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071024i201.htm?from=main2