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2007年10月24日(水) 06時27分

山田洋行、役員報酬名目で裏金 専用口座 接待費に流用朝日新聞

 軍需専門商社「山田洋行」(東京都港区)が長年にわたり、元専務(69)らの役員報酬名目で捻出(ねんしゅつ)した資金を裏金として銀行口座にプールしていたことが関係者の話でわかった。裏金口座の残高は約5年前に確認された時点で約900万円に上り、会社全体で年間に億単位とされる接待費などの一部に使われていたとみられる。自衛隊員らへの接待を隠す意図があった疑いもあり、東京地検特捜部は、山田洋行元社員ら関係者から事情聴取し、解明を進めている。

 山田洋行関係者らによると、同社内では、前防衛事務次官の守屋武昌氏(63)に対するゴルフや飲食の接待が判明している元専務ら役員数人の役員報酬の一部にあたる資金を裏金として使うため、専用の銀行口座にプールしていた。この口座の通帳は、歴代の経理担当者が管理し、後任に引き継いでおり、約5年前の引き継ぎ時には約900万円の残高があったという。

 口座の裏金は、山田洋行の接待費の一部に使われたとみられる。正規に会社の交際費を支出して接待をした場合、帳簿上、接待の同席者名、接待場所などを記載し、領収書を備える必要がある。裏金をつくり、使っていたのは、山田洋行社員らが営業活動を展開していた自衛隊員などに対する接待を明らかにしない狙いがあった疑いが強いという。

 また、山田洋行では、自社の交際費だけでは足りず、関連会社約5社に自社分を各社の交際費として経理処理させていたといい、その金額はひと月あたり計数百万円に上ったとされる。

 特捜部は、防衛省の装備品調達をめぐって、山田洋行側の守屋前次官など自衛隊員に対する接待状況を把握するため、山田洋行から経理書類などの任意提出を受けて分析を進めている。裏金口座の存在や、裏の接待費として使われていたことも把握している模様だ。

 元専務は、山田洋行の経営権をめぐるオーナー側との対立から退任し、06年9月に日本ミライズを設立して社長に就任。その際、山田洋行のかつての部下三十数人も加わっており、特捜部は、これらの社員から、山田洋行時代の接待内容について詳しく事情聴取している。

 また、元専務が昨年、山田洋行の米国子会社が管理していた株売却益約1億円を不正に引き出した疑いがあるため、特捜部は特別背任や業務上横領容疑にあたる可能性があるとみて調べている。

 元専務は、守屋前次官と、山田洋行の関係会社が経営するゴルフ場などで一緒にプレーし、利害関係者とのゴルフが自衛隊員倫理規程で禁じられた00年以降も続けていたことが既に判明している。

http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200710230429.html