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2007年10月24日(水) 23時55分

<会計検査院>社保庁などに無駄遣い指摘、改善求める毎日新聞

 会計検査院は24日、社会保険庁、防衛省、2独立行政法人に対し、無駄遣いなどを指摘して改善を求めた。

 ◇三セク破綻で3億7313万円が焦げ付き

 経済産業省所管の独立行政法人「中小企業基盤整備機構」は、出資した第三セクター100社のうち、破綻(はたん)した5社への出資金総額3億7313万円が回収できなくなっていた。この他に3社が清算中で、44社も06年度に損失を計上するなど経営状態が悪化している。

 検査院によると、同機構は自治体などと共同で三セク100社に対し02年度までに565億円を出資。ところが、04年以降、佐伯メカトロセンター(大分県佐伯市)、道央油化センター(北海道三笠市)が破綻し、出資金全額の計1億6800万円が回収できなかった。

 香川産業頭脳化センター(高松市)▽霧島温泉郷まちづくり(鹿児島県霧島市)▽弘前産業開発センター(青森県弘前市)の3社も破綻し、出資金のうち計2億513万円が回収できなかった。夕張木炭製造(北海道夕張市)など3社も現在清算中で、出資金の一部が回収できなくなる恐れがある。

 ◇データ入力業務、3719万円過大積算

 社会保険庁の北陸、南近畿、北九州地区の計10社会保険事務局は、データ入力業務を外部委託した際、予定価格を3719万円も過大に積算していた。社保庁は「来年度分から委託要領を見直したい」としている。

 検査院によると、健康保険や厚生年金保険の各種届け出書のデータ入力業務について、経費節減のために3地区ごとに一括して契約。端末に打ち込む文字数を基に契約額を決めていたが、入力1件あたりの文字数を過大に想定したり、入力を行う業者の事務所と各事務局間の資料輸送費を割高に積算していた。

 ◇官報の編集業務、割高で随意契約

 独立行政法人・国立印刷局は、印刷している官報号外などの編集業務の外部委託を巡り、随意契約などのため2年間で2億2454万円が割高になっていた。委託先には同局出身者4人が役職員として再就職していた。検査院は他の業者も受注でき競争契約が可能だったとしている。

 検査院によると、編集業務を外注する際、「技術とノウハウを持ち品質管理体制が確立されている」という理由ですべてを「朝陽会」(東京都北区)に随意契約で発注。05、06年度で総額7億1051万円を同社に支払っていた。

 同社は同局の工場の施設を無償で貸与され編集作業を行っていたが、契約金額を自社施設を使用して作業する前提で積算するなど、2年間で総額2億2454万円分が割高になっていた。

 同局は「来年度から競争入札にする」としている。

 ◇私有テレビ、ゲーム機の電気代を負担

 航空自衛隊は、基地内の営舎に居住する自衛官が私有しているテレビやゲーム機などの電気代を負担していた。検査院の試算では、私用による公費負担は06年度、22基地で4015万円に上った。陸上自衛隊、海上自衛隊はこうした電気代は自衛官に負担させており、検査院は「居住自衛官個人が負担すべきだ」として防衛省に改善を求めた。

 自衛隊では曹長以下の階級の自衛官は、原則として所属する部隊の基地などに設けられた営舎内に居住。各基地司令の許可を受ければ個人の居室内に私用の電気機器を持ち込める。

 検査院が空自の全国72の基地、分屯基地のうち千歳基地など22カ所(約8300人居住)を調べたところ、すべての基地で自衛官が居室内に私用のテレビや冷蔵庫、オーディオ機器を持ち込んでおり、電気代は各基地の運営経費の一部として支払われていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071024-00000174-mai-pol