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2007年10月23日(火) 00時00分

ケータイには暗証番号が4つもある読売新聞

 携帯電話(以降ケータイ)には、4種類もの暗証番号・パスワードがある。個人情報保護や紛失時のトラブルを避けるためだが、4種類もの暗証番号があると混乱しやすい。トラブル対策のために、ケータイの4つの暗証番号を再確認しておこう。(テクニカルライター・三上洋)

ややこしい4種類の暗証番号・パスワード


イラスト・成田明也 

 ちょっとしたクイズを出したい。あなたは以下のケータイ暗証番号を思い出せるだろうか?

Q1:ケータイから料金プランを変更するための暗証番号は?

Q2:有料サイトを申し込む際の暗証番号は?

Q3:ケータイをのぞき見されないようにロックをかける暗証番号は?

 3つの質問のうち、いくつ思い出せただろうか。実は3つとも、まったく別の暗証番号が使われている。どれがどれかを判別できた人は、かなりケータイを使い込んでいる人だろう。多くの人は、混乱して思い出せないはずだ。

 例えばQ1の答えは「ネットワーク暗証番号」と呼ばれるもので、ケータイの新規契約時に記入した暗証番号になる。携帯電話会社の基本的なサービスを申し込む際に使うものだ。Q2はiモードやEZwebなどケータイサイト・メール用の暗証番号で、有料サイトを申し込む際に使う。そしてQ3は、電話機本体(端末)の操作をロックするための暗証番号だ。3つとも異なる暗証番号であり、購入時に設定するか、初期設定で暗証番号が決まっている。

4つの暗証番号を整理する

 ケータイで使われる暗証番号、パスワードを改めて整理しておこう。

●「サイト・メール用暗証番号」

主な用途:ケータイサイトやメールなどで使う暗証番号。有料サイトの申し込みなどに利用

名称:iモードパスワード(ドコモ)、EZパスワード(au)など

初期設定:数字4桁(けた)が一般的。ドコモは初期設定で「0000」、auでは購入時に記入した4桁の暗証番号

●「ネットワーク暗証番号」

主な用途:携帯電話会社のサービスを使う場合に利用。料金プラン変更、留守番電話申し込みなど、ケータイの契約に関わるものが中心

名称:ネットワーク暗証番号(ドコモ)、暗証番号(au)、交換機用暗証番号(ソフトバンク)

初期設定:購入時に記入した4桁の数字

●「端末ロック用暗証番号」

主な用途:電話機(端末)の操作をロックする暗証番号。アドレス帳・メールなど個人情報データの保護、Suicaやedyなど電子マネー用のICカードロック、盗難・紛失時の遠隔ロックなどに利用

名称:端末暗証番号(ドコモ)、ロックナンバー(au)、操作用暗証番号(ソフトバンク)

初期設定:「0000」「1234」「9999」など4桁の数字。携帯電話会社や機種によって異なる

●「PINコード(SIMカードロック用暗証番号)」

主な用途:携帯電話に内蔵されているSIMカード(契約データなどを保存するメモリーカード)のロック用暗証番号。盗難・紛失時に、第三者による無断使用を防ぐ

名称:PINコード

初期設定:PINコード設定をオンにすることによりロックがかかる。初期設定は数字4桁となっている


NTTドコモでの暗証番号の例。4つの暗証番号に加えて、パソコンから利用するためのID/パスワードもある(http://www.nttdocomo.co.jp/support/trouble/password/index.html

 この4つがケータイで主に使われている暗証番号、パスワードだ。携帯電話会社によっては、さらに別のパスワードもある。例えばauの場合では、ケータイサイトでのショッピングが簡単にできる「まとめてau支払い」というサービスに申し込むと、「プレミアムEZパスワード」という別のパスワードが必要になる。また各社ともパソコンから料金などを確認できるサービスを提供しており、それぞれ別のID・パスワードが必要になる。

 これほど多くの暗証番号・パスワードがある理由は2つ考えられる。1つはサービスが徐々に増えてきたため。ケータイが単なる移動電話機だった時代から始まり、ケータイサイトやメール、ショッピング、GPSなど多岐に渡るサービスが追加されてきた。その度に暗証番号が追加されたため、このように大量の暗証番号が生まれてしまっている。

 もう1つの理由は、ケータイの重要性が高まったためだ。ケータイには大量の個人情報が詰まっているほか、電子マネーでお財布代わりに、また有料サイトやショッピングなど決済の手段としても使われている。のぞき見や盗難のことを考えれば、セキュリティーレベルは高いほどよい。そのため、どうしても暗証番号やパスワードが増えてしまうのだ。

もっとも重要なのは「端末ロック用暗証番号」

 ただし暗証番号が増えたことで、管理がおろそかになったり、覚えられないからと初期設定のままで使うのでは意味がない。すべて覚えるのは無理としても、どれが重要なのか見極めておきたい。

 多くの暗証番号のうち、最も身近で重要なのは「端末ロック用暗証番号」だ。アドレス帳やメールなどの他人にのぞかれないようにキーロックをかけたり、特定のデータを表示したりしないようにする(シークレット)、電子マネーのおサイフケータイ機能をロックするなどの場合に利用する。また盗難・紛失時に、第三者に見られないように離れた場所から操作ロックをかける「遠隔ロック機能」でもこの暗証番号を使う。

 プライバシーを守るために欠かせない暗証番号なので、初期設定から任意の数字へ変更しよう。なお端末ロック用暗証番号は、4桁だと解読されてしまう危険性がある(詳しくは「ケータイの暗証番号が解読される?」を参照)。最新ケータイの多くは8桁まで設定できるので、必ず8桁いっぱいの暗証番号を設定しよう。

 「サイト・メール暗証番号」と「ネットワーク暗証番号」は、どちらかというと重要度は低い。ただし端末を盗まれた場合に、同時に暗証番号がわかってしまうと、勝手に有料サイトに申し込まれるなどの被害が出る可能性がある。暗証番号は必ずケータイとは別の場所に保存しておくこと。覚えられないからといって、ケータイのメールなどに書いておくのは危険である。

銀行パスワードと同じにしてはダメ

 もう1つ重要なのは、ほかのパスワードと同じものを使ってはダメだということ。特に端末ロック用暗証番号は、4桁だとパソコンソフトで解読されてしまう。銀行のキャッシュカード、クレジットカード、オンラインバンキングの暗証番号などと同じにしていると、盗まれた場合に預金を引き出されたり、不正に使用される可能性がある。ケータイの暗証番号と、お金に関係する重要な暗証番号とは、必ず別の数字にしよう。

 ケータイの暗証番号は、ともかく数が多くて混乱しまいがち。最も重要な「端末ロック用暗証番号」だけは、8桁いっぱいに設定し、かつ頭の中だけに記憶しよう。それ以外の暗証番号、パスワードが覚えきれない場合は、紙に書いてケータイとは別の場所に保管するとよいだろう。パソコンやケータイにデータとして残すのはお勧めできない。盗難・紛失やウイルス感染などにより、データが流出する可能性もあるからだ。

http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20071023nt07.htm