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2007年10月23日(火) 01時30分

米マイクロソフト、独禁法違反で上訴せず EU勝利朝日新聞

 米マイクロソフト(MS)による欧州連合(EU)独占禁止法違反事件で、EU欧州委員会は22日、MSがライバル社に技術情報を提供するなどEUの求めに従うことで合意したと発表した。MSもこの日、この件に関して欧州司法裁判所に上訴しないことを明らかにした。EUとMSの係争は04年から続いていたが、EU側の勝利で収束する。

 欧州委によると、MSは今後、基本ソフト「ウィンドウズ」の技術情報のライバル社への提供に応じ、他社がソフト開発しやすい環境をつくる。情報の使用料は1万ユーロ(約160万円)に抑える。欧州委のクルス委員(競争政策担当)は22日、「消費者の勝利だ」と述べるとともに、新たな違反があれば制裁を科すと改めて警告した。

 MSは「ウィンドウズ」の独占的地位を乱用し、技術情報の提供を拒んだなどとして、欧州委から04年3月、4億9700万ユーロ(約800億円)の制裁金を科された。EUの一企業への制裁金としては過去最高額で、EU独禁法をめぐる係争の象徴的な例だった。

 MSは欧州第一審裁判所に訴えたが、同裁判所は今年9月、MSの訴えを退けた。MSには上訴して徹底抗戦する道もあったが、上級審の欧州司法裁は法解釈を争う場で事実認定が覆ることはなく、MSの逆転勝訴は難しい情勢だった。欧州委と対立し続けてもイメージが悪化するだけで、利益はないと判断したとみられる。

 欧州委は06年にも、MSが是正命令に従っていないとして、2億8050万ユーロの追加制裁金を科した。追加制裁は1日当たりの制裁額をもとに算出されており、クルス委員はこの制裁の扱いをどうするか、早急に決める考えを示した。

http://www.asahi.com/international/update/1023/TKY200710220377.html