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2007年10月23日(火) 03時01分

守屋前次官と親密な山田洋行米法人を捜査、使途不明1億か読売新聞

 守屋武昌・前防衛次官(63)との親密な関係が問題視されている航空・防衛分野の専門商社「山田洋行」(東京都港区)の米国現地法人などで、不正な経理操作が行われていた疑いがあるとして、東京地検特捜部が米司法当局に捜査共助を要請し、今月上旬、米国に検事を派遣していたことが分かった。

 特捜部は、同社幹部や、元専務(69)が独立して設立した別の防衛専門商社の幹部らを事情聴取しており、両社を巡る不透明な資金の流れについて慎重に調べを進めているとみられる。

 ◆裏金数億、防衛官僚ら接待疑惑◆

 山田洋行を巡っては、守屋前次官の在職中、同社元専務が頻繁にゴルフ接待を繰り返し、プレー後の飲食代も負担していたことが判明している。

 新たに不正経理疑惑が浮上しているのは、山田洋行の米国現地法人「ヤマダインターナショナルコーポレーション」。米ワシントンに本社を置き、ニューヨークやロサンゼルスにも支店がある。同社の元社長(70)は、元専務の側近と言われる。元専務が昨年6月に山田洋行を辞めた後、元社長も退任し、元専務が設立した「日本ミライズ」(港区)の米国本社「日本ミライズUSA」(ロサンゼルス)の代表取締役に就任した。

 複数の山田洋行関係者は、「ヤマダインターナショナルは、元社長の在任中、不正な経理操作で数億円の裏金を捻出(ねんしゅつ)し、その一部を米国に出張した旧防衛庁幹部や米国の防衛関連企業幹部らの接待に使っていた疑いが強い」と指摘。また、ヤマダインターナショナルにプールされていた資金のうち約1億円は、元社長がミライズ側に移籍後、行方が分からなくなっているという。

 一方、元専務は、山田洋行を辞めた直後、山田洋行の取引先だった米国の航空関連企業との代理店契約の内容を無断で、山田洋行側に不利な内容に書き換えた疑いもあるという。

 特捜部は今年8月ごろから、山田洋行や日本ミライズの幹部らを聴取。既にヤマダインターナショナル元社長からも事情を聞いている。今年9月には、米司法当局に、山田洋行や日本ミライズの現地法人などに関する捜査について、捜査共助を要請。今月上旬、約1週間の日程で検事をロサンゼルスなどに派遣した。山田洋行の関係者は、現地法人や取引先が特捜部への資料提出に応じたことを認めている。特捜部は今後、資料などをもとに海外の資金の流れについても調べを進めるとみられる。

 ヤマダインターナショナルが旧防衛庁幹部らを接待していた疑惑について、元専務は取材に対し、「どこの商社だってあるんじゃないか。来たらパーティーしたり飲んだりするでしょう」と語る一方、裏金や使途不明金については「そんなことはない。あるなら刑事事件にすればいい」と話した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071023it01.htm?from=top