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2007年10月22日(月) 20時52分

今、NOVAで何が起きているのか?産経新聞

 立地のよい「駅前留学」拠点と外国人を講師にした少人数制レッスンで拡大した英会話大手、NOVA(大阪市、猿橋望社長)だが、事業規模の拡大を急ぐ経営が引き金となり、財務状況が急速に悪化している。22日には外国人講師らが加盟する労働組合、ゼネラルユニオンが、大阪市内で対応などについて説明会を開いた。同社の存亡を、40万人近い生徒と約5000人の外国人講師らが不安を抱きながら見守る事態となっている。
 ◆情報の不足◆
 「NOVAは情報が交錯する異文化のジャンクション(交差点)だ」と唱え続けた猿橋望社長。だが、経済産業省の処分発表後の記者会見(6月)後は一度も公の場に現れず、社員や講師からは「コミュニケーション不足」との非難が相次ぐ。
 7月27日に支払い予定だった日本人社員の給与が遅れたのをはじめ、社員の給与は4カ月間も遅配に。講師も10月15日予定の給与振り込みが再三延期され、日本人社員の9月分給与と同様、22日現在で未払いだ。
 「情報がなく不安。テレビ会議のシステムもあるのに、なぜ顔を見せて事情を話さないのか」。22日にゼネラルユニオンが大阪市内で開いた説明会でイタリア人の女性講師(32)は憤った。
 ◆悪化の原因◆
 NOVAは平成に入り、毎年数十〜百校ものペースで規模を拡大し、英会話業界の50%超のシェアを占めるまでに急成長した。駅前立地の教室や外国人講師による少人数制の語学レッスンという画期的なビジネスモデルが、ユニークな広告宣伝に後押しされ、若い世代の支持を得た。
 だが「この拡大こそ元凶」と、日本人の元社員は分析する。社内で講師やスタッフが不足するとの意見が出ても、猿橋社長は「そんなものは後からついてくる」と一蹴したという。
 実際は平成17年ごろから、講師の育成・補充が追いつかなくなり、サービスが著しく低下。「いつでもレッスン受講可」と説明しながら予約がとりにくいなど、経済産業省が6月の行政処分で指摘した問題が表面化したのがこのころだ。
 長期契約で割引が大きくなる「ボリュームディスカウント」も、財務体質悪化を加速。1回分のレッスン料が1200円になる最長の契約では、ほとんど利益が上がらない構造だった。
 2月に最高裁が解約金返金で生徒側に有利となる判決が出ると生徒離れが一気に加速。19年3月期の最終損失は24億9500万円で2年連続の赤字となった。
 ◆見えない展望◆
 同社は今、存亡のはざまでゆらぐが、猿橋社長は自力再建に固執していると伝えられる。望みの綱は、自身が今月まとめた、外資系ファンドへの新株予約権の発行だ。
 24日には7000万円が振り込まれる予定だが、株価が35円を超えないとその後の新株引き受けはないため、業績回復の決定打無しには、64億円の増資は絵に描いたモチになりかねない。
 度重なる給与遅配で講師やスタッフは大量離職し。今月中旬には、猿橋社長とともに同社を創業した最古参のアンデルス・ルンドクヴィスト取締役までが、猿橋社長に辞表を提出している。
 一方、「給与支払いさえ確実になれば、このまま働き続ける」と話す講師も少なくない。銀行関係者の中には「同社のビジネスモデルは悪くないので、猿橋社長が退けば引受先が出る可能性はある」との見方もある。自力であれ、支援者への営業譲渡であれ、NOVAが存続するための猿橋社長の今後の決断に注目が集まる。

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