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2007年10月22日(月) 03時03分

PCIが架空経費1億2000万、国に水増し請求読売新聞

 国が中国で進めている遺棄化学兵器処理事業を巡る事業費の不正流用事件で、大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)が、不正な利益を捻出(ねんしゅつ)するため、架空の経費を計上し、約1億2000万円を国に水増し請求し、全額受け取っていたことが分かった。

 こうした不正請求は、PCIの荒木民生元社長(71)の要求を受けて実行された疑いが強いことも判明。東京地検特捜部は、同社が国から事業費をだまし取った可能性もあるとみて、解明を進めている。

 PCIの持ち株会社は2004年3月、内閣府が進めていた同事業を受注するため、新会社「遺棄化学兵器処理機構」(同港区)を設立。機構は06年度までの3年間に内閣府から計約230億円の事業を独占受注し、PCIなどの共同企業体に事業の一部を委託した。

 複数のPCI関係者の話によると、PCIの社長を退任していた荒木元社長は、機構設立直後の04年6月ごろ、同社幹部に「機構が事業を独占受注できるようになったのは、自分の力だ」などと強調。その見返りとして、荒木元社長が当時社長を務めていたPCIのグループ会社「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM、千代田区)に3億円を支払うよう要求したという。

 PCI幹部は、要求に応じるため、委託された事業の一部を、PPMを通じて下請け数社に発注し、資金を捻出することを考案。PCIはPPMに架空の技術者派遣費用を支払い、架空費用分を機構経由で内閣府に水増し請求した。

 こうした手口で、PCIは機構を通じ、04年度に約1億円分、05年度にも約2000万円分を国に水増し請求し、全額を受領。PPMは、計約1億2000万円の不正な利益を得た。しかし、政府開発援助(ODA)に関する不正請求問題で、PCIが04年9月以降、国際協力機構(JICA)から指名停止処分を受けたことなどから、PPMに対する3億円全額の支払いは実現しなかったという。

 特捜部では、国から不正に引き出した資金は、本来はPCIからPPMに支払う必要がなく、荒木元社長らがPPMの利益を図るためPCIに損害を与えたとして、04年度の約1億円について特別背任容疑でPCI本社などを捜索、資金の流れを調べている。今後、国に対する水増し請求の実態についても調べる方針だ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071022i201.htm