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2007年10月22日(月) 11時45分

人の不幸に便乗! とんでもない詐欺事件ツカサネット新聞

いのちの尊厳が軽視され、連日のように悲惨な事件が起きる。わが子を虐待、殺害してしまう「虐待事件」。誰でもいいから通りがかりの人を殺害する「通り魔事件」。連日の報道を目にすると、またかと心が痛む。

先日、兵庫県加古川市で7歳の女の子がなにものかに殺害された。少女は、救急車の中で男の人に刺されたということばを残して、旅立ってしまった。

その後、報道陣が自宅周辺を取材するのは、もうお決まりのパターン。突然の惨劇を飲みこめていない親族にまで取材カメラを向けるという、常識外れな行動はいまに始まったことではない。

こういう報道が行われることにより、事件を教訓として地域の防犯活動に力を入れる自治体が増えることは、たしかにいいことだ。しかし、今回、この事件の報道を悪用するとんでもない「詐欺事件」が起こってしまった。

それは、少女が住んでいた町内会の役員を名乗る男性が、「見舞金」名目で1軒あたり500円を集金してまわったというものだった。その男性は、手書きの領収書を渡したということだが、自治会長に照会するとそういった事実はないとのことが判明した。たしかに、領収書には町内会在住の男性名義になっていたそうだが、本人はまったくの無関係だという。

人の不幸をここまで利用するとは、まったくとんでもない話だ。徴収してまわった金額の多少に関わらず、遺族の心境を逆撫でするような行為は絶対許せるものではない。

それにしても、顔を知られるのを承知で町内を訪ねまわるなど、なんと大胆な行動に出たものだと驚いてしまう。たしかに、一般的な領収書の名義は徴収してまわった人と一致しない。だから、今回、名前と顔が一致しなくても誰も疑問を持たなかったのかもしれない。それでも、集金にまわる人は少なくとも町内会に属しているはず。それさえ気づかないのは、隣近所との人間関係が希薄になってきた証拠なのだろうか。

以前も、事故や事件現場に備えられているお菓子や飲み物を持ち帰る窃盗事件があった。また、地方紙の訃報欄に亡くなった人の名前が記載されることを悪用しての香典泥棒もよくある話だ。

「人の不幸の上に自分の幸せを築いてはならない」ということばを聞いたことがあるが、なんとも……。


(記者:翔子)

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