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2007年10月22日(月) 11時34分

証券市場、暴力団の資金に? 仕手戦に潜む黒い影産経新聞

 長い低迷期を経て徐々に景気が回復するなか、証券市場に暴力団の資金が流れ込んでいると指摘する証券市場関係者は少なくない。証券取引法違反容疑で大阪地検特捜部に逮捕された大物仕手筋、西田晴夫容疑者(57)も暴力団の資金で仕手戦に乗り出していたという。株の錬金術に群がる暴力団と、その資金を武器にする仕手筋。証券関係者は「大きな仕手戦のたびに決まって暴力団の存在が指摘される」と話している。(尾島正洋)
 「西田先生は暴力団とも平気で取引してしまう」。「西田グループ」と呼ばれる西田容疑者の元側近によると、西田容疑者が手がけた仕手戦に暴力団関係者の資金が投入され、実際に利益を上げたケースもあったという。
 関係者によると、暴力団は西田容疑者にまとまった資金を提供し、その後は西田容疑者の運用に任せる取引一任勘定だったという。西田容疑者のスポンサーの一人とされるある金融業者は、暴力団との付き合いを認めている。
 「N銘柄」と呼ばれた西田容疑者の仕手戦は、業績不振の企業がある日、大型増資を発表することから始まるのがいつものパターン。西田容疑者は投資家の資金をファンドなどで受け入れ、増資に伴う大量の新規発行株の割り当てを受ける。売買を活発化させて株価をつり上げ、一斉に売り抜ける。
 仕手戦はうまくいかないことも多く、損をさせた暴力団に監禁され、多額の借金証文を書かされたこともあったという。
 「こうして暴力団に損させれば、もう関係を拒めなくなる」と元側近は語る。
 西田容疑者逮捕の翌13日未明、西田容疑者の「番頭」と呼ばれた男性が神戸市内の高速道で側壁に衝突し死亡しているのが見つかった。自損事故とみられるが、関係者は「多額の負債がある西田容疑者が逮捕されたことで、金融業者などの対応に窮していたのではないか」と推測している。
 関西に拠点を持つ暴力団の資金活動について、証券市場での資金運用役の存在を指摘する関係者もいる。
 関西の暴力団幹部は「株に限らず、土地など投機性の高い案件に資金を提供する。後は一任勘定のようなもの。利益が出れば双方の取り分を決めるし、損が出ても、こちらの取り分は同じ。損失は運用役にすべて被ってもらう」と錬金術の仕組みを明かす。
 また、暴力団幹部が自ら株を売買するケースもあるという。「ヤクザはもともと、ばくち打ち。ばくちの感覚で株をやっているのはやめられない面白さがある。しかし、資金に余裕のある大きな組織の大幹部でないと株に手を出さないのではないか」とも話した。

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