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2007年10月20日(土) 03時06分

<赤福>県、2度立ち入り調査も「問題なし」と結論毎日新聞

 老舗和菓子メーカー「赤福」(三重県伊勢市)の消費期限偽装問題で、赤福を異例の無期限営業禁止処分にした三重県。だが県としても2回にわたって同社に立ち入り調査しながら、不正をつかめなかった。19日の記者会見で県の担当者は「私たちに消費者の目があれば、もっと早く指導できたかもしれない」と謝罪。後手に回った対応は、県の調査が十分だったかという疑問も浮かび上がらせた。

 同県は9月中下旬、農林水産省から指摘を受け、赤福に2度立ち入り調査している。調査方法は、提出書類の精査。県は、赤福提出の書類を調べただけで「問題はない」と結論づけた。

 「有名な会社が消費期限偽装をやればどうなるか、赤福はよく分かっているはず。(偽装は)ないという目で見ていた」と県薬務食品室の担当者。赤福の浜田典保社長が12日、売れ残り商品の再出荷はないと断言するのを聞き「ほっとした」とも。

 同県は、化学メーカー、石原産業(大阪市)の有害物質を含む土壌埋め戻し材「フェロシルト」にリサイクル材の認定を与え、不法投棄被害を拡大する失態も犯している。石原産業が自社の不正を発表するまで、県は「フェロシルトそのものに問題があるかはまだ不明」「検査結果に異常はない」などと言い続けた。

 野呂昭彦知事は19日、「(赤福の不正を)見抜けなかったことは申し訳ないこと」と陳謝しながら「結果的にだまされた石原産業のフェロシルト事件と同じような状況。行政としてはどこまで立ち入って調査できるかというと難しさはかなりある」と弁明。フェロシルト事件は教訓にならなかった。

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 赤福本社工場などで三重県や農水省などが始めた再度の立ち入り調査は、19日夜も一部が続いている。店頭から回収された赤福餅から分離した「むきあん」を赤福から購入していた伊勢市の「和菓子の万寿や」にも立ち入り調査した。【飯田和樹、田中功一】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071020-00000026-mai-soci