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2007年10月19日(金) 08時01分

防衛商社「山田洋行」 元専務、特別背任の疑い 地検聴取 守屋前次官と関係産経新聞

 老舗防衛専門商社「山田洋行」(東京都港区)から独立した元専務(69)らのグループが、山田洋行在職時に不透明な会計操作を行い、不正支出を行っていた疑いがあることが18日、関係者の話で分かった。山田洋行は、元専務らが新たに設立した防衛専門商社「日本ミライズ」(同)の幹部らに対し、計約15億円の損害賠償を求める民事訴訟も起こしている。東京地検特捜部も一連の経緯に着目しており、特別背任の疑いで、すでにミライズ社の幹部ら関係者から事情を聴いたもようだ。

 関係者によると、元専務は山田洋行在職時に、米国の防衛重機メーカーや旧防衛庁(現防衛省)に対する営業活動や政界工作で中心的な役割を担っていた。守屋武昌前防衛事務次官ら防衛省幹部とも近い関係にあり、十数年にわたり、ゴルフや飲食接待を行っていたという。不正支出の一部はこうした接待の原資になった疑いもあるという。

 山田洋行は昭和44年、不動産会社の一部門から独立する形で設立。防衛専門商社として航空分野での業績を大きく伸ばし15年ほど前から米国の大手軍需メーカーから代理店指名を受けるようになった。現在では、大手商社やメーカーがひしめく防衛産業の中でも、大きな地位を占めている。

 しかし昨年6月、元専務が退社し、9月に同社社員数十人とともにミライズ社を設立。関係者によると、その後、ミライズ社幹部が、山田洋行在職中に不透明な会計操作を行い、不正支出を行っていた疑いが判明したという。

 山田洋行は、航空自衛隊次期輸送機(CX)の新型エンジン納入をめぐって、代理店契約を結んでいた米国ゼネラルエレクトリック(GE)社などを担当する社員らがミライズ社に多数移籍したことから、「違法な手段でCXエンジンの取引先を奪おうとした」などとして猛反発。昨年10月と今年2月までに元専務らミライズ社員を相手取り計15億円の損害賠償を求め東京地裁に提訴し、移籍した一部元社員の退職金の返還を求める訴訟を起こしている。

 特捜部では、元専務らが山田洋行に在籍していた時点で、関連会社の合併などをめぐって不正な会計処理を行った疑いがあるとみて、両社の幹部からすでに事情聴取を行ったもようだ。


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