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2007年10月19日(金) 02時30分

赤福を無期限営業禁止…売れ残り商品回収、再利用産経新聞

 伊勢土産で知られる「赤福餅(もち)」の製造日偽装問題で、赤福(本社・三重県伊勢市)が店頭で売れ残った商品を回収し、餡と餅を分離するなどして再利用していたことが18日、農水省の調べで分かった。老舗菓子店の売れ残り再利用という不祥事は、経営陣の責任問題に発展する可能性もあり、消費者の食への大きな不信を招きそうだ。
 製造日表示のJAS(日本農林規格)法違反に加え、消費期限に関する食品衛生法違反の疑いが強まり、同省は19日午前、同社本社と名古屋、大阪の3工場に各保健所と合同で立ち入り検査することを決めた。三重県は18日、食品衛生法に基づく検査に入り、19日付で異例ともいえる無期限の営業禁止処分を行う。
 農水省によると、赤福は前回の立ち入り検査の際、「売れ残りは回収して焼却している」と説明していたが、農水省の再質問に対し、18日夜、文書で回答し、回収品の再利用などを認めた。
 浜田典保社長は同夜、記者会見し、「消費者、関係者のみなさんに申し訳ない」と謝罪し、深く頭を下げた。偽装が発覚した12日には「出荷した商品は冷解凍していない」と何度も繰り返したが、この日は「説明に事実と相違があった」とうなだれ、「総点検して新たな事実が判明次第、報告する」と声を絞り出すのがやっとだった。
 農水省によると、赤福餅の消費期限は製造翌日(冬場は翌々日)まで。同社は三重、名古屋、大阪の各工場に自社の配送ルートを持ち、土産店や駅の売店などに赤福餅を配送・回収している。
 店頭にいったん陳列し、売れ残った商品は本社、大阪、名古屋の各工場で冷凍して再度出荷したほか、餡と餅に分離して再利用。同社の報告によると、餡の約50%は処理の上、肥料にして売却。残りは同じグループの「和菓子の万寿や」に卸し、他の和菓子材料として再利用していた。社内ではこの再利用作業を「むきあん、むきもち」と呼んでいたという。
 農水省は19日からの検査で、不正を始めた時期や数量などを調べ、事実を確認次第、さらなる改善報告を求める方針だ。
 これまでに、同社は製造後や配送時にトラックから出さなかった商品を最大1〜2週間冷凍し、解凍後に包装を替えて出荷する「まき直し」を34年間続けていたことが判明。農水省から今月12日に厳重注意を受け、改善策の提出を求められていた。
 浜田社長は同日の会見で「解凍までを製造と判断していた。消費者を欺く気はなかった」と説明していたが、その後も赤福餅の箱に添えている日付入りの絵札「伊勢だより」を解凍時に毎回入れ替えるなど「不正を認識していた証拠」(農水省)が明らかになっていた。

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