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2007年10月19日(金) 03時02分

<米軍駐留経費負担>日本政府が削減幅の圧縮検討毎日新聞

 来年3月に期限切れを迎える在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する日米両政府の新特別協定締結協議で、日本政府は18日、駐留経費負担のうち特別協定分約1400億円について、合理化に伴う削減幅を圧縮する方向で検討に入った。インド洋での海上自衛隊の給油活動が一時中断することが確実視される中、思いやり予算でも日米が対立すれば、同盟関係に深刻な影響を与えかねないと判断した。11月に予定されている日米首脳会談で、福田康夫首相がこうした考えを伝える見通しだ。

 思いやり予算のうち、06年に発効した特別協定分は、基地従業員の基本給1150億円、基地で使われる電気、水道、ガスの光熱水費253億円などが含まれる。

 当初は光熱水費などの大幅減額を検討したが、「給油活動に加えて、思いやり予算も削減すれば、同盟関係に悪影響が出る」(外務省幹部)との懸念が生じた。

 さらに米側が北朝鮮や中国の軍備増強を念頭に、日本側に一定の負担を求めており、削減額を数十億円規模で圧縮することの検討も始めた。特別協定は来年3月に失効するため、政府は予算編成に向けて新協定案に基づく所要経費の算定を急ぎ、日米協議を11月末までに妥結させる方針だ。

 ただ、厳しい財政事情を理由に駐留経費も抑制傾向にあったことから、国会で厳しい論議も予想される。【中澤雄大】

 【思いやり予算】 在日米軍駐留経費の日本側負担分。78年、当時の金丸信防衛庁長官が「日本の安全を守ってくれる在日米軍に思いやりの気持ちを持とう」と、基地従業員の労務費などを支出したのが始まり。その後に締結した特別協定で光熱水費なども負担するようになった。近年、在日米兵が減少する一方で、基地従業員が増加傾向にあるなど、負担見直し論議が高まっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071019-00000008-mai-pol