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2007年10月19日(金) 22時13分

自殺予兆患者を専門医に紹介で診療報酬加算へ産経新聞

 厚生労働省は19日、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)に対し、不眠症などで来院した患者に鬱病(うつびょう)などで自殺の予兆が認められた場合に、精神科医へ紹介すれば診療報酬を加算する考えを示した。一方、脳卒中の後遺症に悩む患者を減らすため、新薬療法が可能な体制を整備した「脳卒中対応病院」にも診療報酬を手厚くする方針も明らかにした。平成20年度の診療報酬改定で実現する見通しだ。

 自殺者数は毎年3万人超と高水準で推移しており、政府は6月に自殺対策基本法に基づく「自殺総合対策大綱」を決定。診療報酬改定でも対策を検討してきた。

 自殺の危険性が高い人は、鬱病などを患っていることが多いが、本人が自覚しておらず、身近な内科などの開業医にかかって体調不良を訴えることが多い。そこで、内科医などが患者のこうしたシグナルをつかんだ段階で専門治療につなげる流れを作るため、精神科医に紹介状を書けば診療報酬を加算することにした。

 自殺未遂者は再度自殺を試みることが多く、精神的なケアが必要なことから、救急搬送時に身体的な治療だけでなく、精神治療をした場合も、診療報酬を加算する。

 子供の精神障害については、親子それぞれに面談が必要など、診察時間が長時間に及ぶケースが多いため、診療時間に応じて診療報酬を加算する。1年間を限度として算定しているカウンセリング料の上限も延長する考えだ。

 一方、日本人の死因で第3位の脳卒中治療の充実に向け、脳梗塞の新薬「t−PA製剤」を使った治療態勢を整えた「脳卒中対応病院」に対し、診療報酬を手厚くする。

 「t−PA製剤」は血管内の血栓を溶かす能力が高く、脳梗塞発症後3時間以内に投与すれば、後遺症の発生率を下げることができるとされているが、脳出血の副作用があり、投与までの短時間に血液検査や画像診断などを行うために、24時間体制をとる必要がある。このため、診療報酬を加算して中規模病院にも態勢を整備してもらう。

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