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2007年10月19日(金) 15時39分

赤福 不信と失望拡大 消費者「余り物とは」憤り朝日新聞

 店頭の売れ残り商品を再使用したことが発覚した老舗(しにせ)、赤福(三重県伊勢市)の本社と工場に19日午前、再び農林水産省と三重県などが立ち入り検査に入った。製造日偽装に続き、消費期限の根拠も消えた。赤福の無期限営業禁止処分を受けて、百貨店などは販売自粛継続の方針を決め、消費者の怒りも広がるなど、さらに「赤福離れ」が進みそうだ。

 赤福の不祥事が次々に明らかになり、地元の伊勢市民らに失望が広がっている。

 市内で靴店を営む伊勢高柳商店街振興組合の橘正志理事長は「東京に暮らす息子たちに大人気で、何度も宅配便で送った。残念としかいいようがない」とつぶやいた。

 同市で機械設計会社を創業した山本幸雄さん(67)は浜田典保社長と顔なじみ。「冷凍技術が進歩する一方、安全重視のマーケットの要求との差が開き、ギャップを埋めるのが難しくなっていたのでは」とみる。

 伊勢神宮内宮前の「おかげ横丁」は雨の中を行き交う観光客らが、閉じたままの本店前で足を止めた。

 愛知県犬山市から妻と観光に来た松本久雄さん(65)は「孫の誕生や結婚記念日など、節目ごとの伊勢参りで必ず買ってきた。余り物をまた商品にしていたとは、とんでもない」と憤った。

 夫婦で2泊3日の旅行に訪れた名古屋市の尾藤圭子さん(63)は「心のこもった手作り品と信じてきたのに。これでは他のおまんじゅうにしようと思ってしまう」と嘆く。小学5年生の修学旅行で来た時、みんなで買った赤福。「昔のように伊勢だけで売って、大量生産をしなければ良かった」

 遠足で訪れた松阪市の飯南高校1年生も「絶対に食べたかった」「おばあちゃんのおみやげにしたかった」と口々に言い合っていた。

■小売店側から厳しい声

 商品を取り扱っていた店舗の関係者らからは、改めて赤福に対する厳しい声が上がった。

 赤福を扱う2店舗での販売を自粛している松坂屋には、18日に赤福から説明があったという。広報担当者は今回の事態を「非常に残念。今後確認しなければいけないことが多々ある。さらなる事実関係の確認を進めている段階」と話した。

 「赤福茶屋」が入るジェイアール名古屋タカシマヤは、製造日偽装が明らかになった12日から営業を自粛。事実関係が判明するまで再開の予定はなかったといい、新たな事実判明にも「まだ途中の段階。営業自粛を継続することには変わりはない」(広報担当者)としている。

http://www.asahi.com/national/update/1019/NGY200710190014.html