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2007年10月19日(金) 15時03分

<守屋前防衛次官>受注業者とゴルフ 倫理規程に違反毎日新聞

 防衛省の守屋武昌・前事務次官(63)が01〜05年、同省発注業務の受注業者で防衛専門商社「山田洋行」(東京都港区)の元専務(69)と年間数十回ゴルフをしていたことが分かった。利害関係者とのゴルフは自衛隊員倫理規程(00年施行)に反しており、大物次官と業者の不適切な関係が浮かんだ。石破茂防衛相は19日の閣議後会見で「事実とすれば省の信用にかかわる。先日まで事務方トップの方であり、必要な確認を行いたい」と語り、自らが直接調査する方針を明らかにした。

 関係者によると、2人は20年来の付き合い。山田洋行のグループ会社が経営する埼玉県や千葉県のゴルフ場などで、多い年で月4回、年間計約30回ゴルフをしていた。ほとんどは前次官の妻も同行していたという。

 山田洋行側には、交際費として1回5万〜6万円のプレー代を支出した記録が残されている。前次官側が自らプレー代を支払うこともあったとされるが、倫理規程は代金の負担状況を問わず「利害関係者と遊技またはゴルフをすること」自体を禁じている。抵触すると刑事罰規定はないが、懲戒処分の対象になる。

 前次官は8月19日、毎日新聞の取材に「ゴルフに行ったことはあるが、世の中の目が厳しくなってからは行っていない」と疑惑を否定。山田洋行側に残された記録によると、ゴルフは次官に就任した03年8月以降も続いていたが「次官になってからは行っていない。便宜を図ったこともない」と語っていた。

 元専務は06年6月、山田洋行の専務取締役を辞任。同9月、防衛専門商社「日本ミライズ」(東京都港区)を設立し、現在同社の社長を務めている。元専務は今年7〜9月、計3回取材に応じ「会食やゴルフはしたが昔の話。倫理規程ができてからは危なくてやらない。守屋さんとは親しいが、最近は会っていない」と話した。

 前次官は71年、防衛庁(当時)に入り、航空機課長、官房長、防衛局長などを歴任。在日米軍再編や防衛省昇格に手腕を発揮した。異例の在任4年目に入った今年8月、小池百合子防衛相(当時)と後任の次官人事を巡り対立。テレビで連日取り上げられる騒動となり同31日、退官した。

   ◇   ◇

 山田洋行は19日「ゴルフ接待を行っていたことは、一部確認されている。元専務の在職中の行為について社内調査を進める」とするコメントを発表した。

 【ことば】◇山田洋行◇ 69年設立。当初は航空機用部品を主に取り扱っていたが、90年代に入り米軍事メーカーに替わって輸入手続きを代行する「販売代理権」を次々と獲得。00年度には防衛庁(当時)との契約額が約160億円と上位13位に食い込み、大手商社と肩を並べるまでに成長した。民間調査会社によると、07年3月期の売上高は351億6700万円。元専務が日本ミライズを設立し、30人以上の従業員が同調して移籍したため、商権や引き抜きを巡る民事訴訟が双方から提起され係争中。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071019-00000056-mai-pol