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2007年10月18日(木) 07時16分

詐欺容疑の被告、83歳から600万円詐取自供読売新聞

 神埼市の独り暮らしの女性(83)に「税金の支払いが必要」とうそを言い、20万円をだまし取ったなどとして詐欺容疑などで逮捕、起訴された住所不定、無職田中啓三被告(59)が佐賀地検の調べに対し、この女性から計600万円以上を繰り返し詐取したと自供していることが分かった。老後の蓄えをすべて失った女性は「好きだった肉厚の梅干しも買えなくなった」と悲嘆にくれながら、庭で細々と野菜を作り、月約3万円の年金で生活している。

 調べや女性の話によると、田中被告はミシンの営業をしていた2005年ごろから女性宅を頻繁に訪れるようになり、「金を預ければ半年後に増やしてあげる」などとうそを言って、現金をだまし取るようになったという。

 ミシンの営業は同年8月にやめ、今度は「国税調査課」の代理人と名乗って、実際にはない税金の支払いを求めたり、架空の融資話を持ちかけたりし、1回につき1万〜数十万円を繰り返しだまし取った疑いが持たれている。

 女性は貯金を崩しながら、100回以上は金を渡したという。貯金が底をついたため、めいに相談してだまされたと悟り、今年5月、県警に被害届を出した。

 田中被告はこの間、フィリピン人の妻と乗用車で寝泊まりしながら、ファミリーレストランで食事をし、時にはビジネスホテルに泊まったりフィリピンへ行ったりと、女性からだまし取った金で気ままな生活を送っていた。

 女性は「これまで人をだましたことも、だまされたこともなかった。だから話を信じたが、相手が自分と同じ心を持っているとは限らないことを知った。夫が残してくれた貯金だった。一生、刑務所から出てほしくない」と話している。

 22日に佐賀地裁で、田中被告の第2回公判が開かれる。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news001.htm