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2007年10月18日(木) 17時34分

生活保護費で覚醒剤 支給日「心待ち」密売所直行 所持容疑、2人逮捕 大阪府警産経新聞

 大阪府警旭署に覚せい剤取締法違反(所持)で現行犯逮捕された無職の男2人が、生活保護費を受け取ったその足で大阪市西成区に行き、覚醒(かくせい)剤を購入していたことが18日、分かった。2人に面識はなかったが、いずれも生活保護費が支給される毎月初めに覚醒剤を買うのが習慣になっていたという。大阪市をはじめ、多くの自治体が生活保護費の不正受給対策に頭を痛める中、受給者の実態の一端が浮き彫りになった格好だ。

 逮捕されたのは、大阪市東住吉区矢田、油井信二被告(60)=同罪で公判中=と、大阪府東大阪市渋川町、下田栄治容疑者(32)。調べでは、油井被告は8月1日午前10時35分ごろ、西成区の密売スポットの路上で覚醒剤0・08ミリグラムを1万円で購入し、同区太子の駅構内で所持した疑い。下田容疑者は10月2日正午ごろ、西成区萩之茶屋の駅構内で、覚醒剤0・112ミリグラムを所持した疑い。

 油井容疑者は、東住吉区役所矢田出張所で生活保護費12万円を受け取ったその足で電車で西成区に向かい、覚醒剤を購入していた。生活保護費は、高齢と体調不良で働いても十分な収入を得られないとして、平成17年3月から受け取っていた。「毎月、保護費を受け取った後、西成に覚醒剤を買いに行くのが習慣になっていた」と供述している。

 一方、下田容疑者は左足が不自由で、今年4月から生活保護を受けていた。当日は午前9時半ごろ、自宅近くのコンビニで、10月分の生活保護費11万3000円全額を銀行口座から引き出し、覚醒剤を買いに行ったという。調べに対し、「生活保護費が入れば覚醒剤を買いに行けると心待ちにしていた」と供述しているという。

 関係者によると、生活保護受給者のなかには、保護費を受給した後、パチンコなどに行く人や、区役所の外で待つ借金の取り立てにきたとみられる男に保護費を支払う人も少なくないという。

 大阪市によると、生活保護受給者は11万人余り(平成19年3月)で18年度の保護費は全国最高額の2311億円。不正受給額は949件、約6億円(17年度)に上っており、不正対策は大きな課題になっている。

 しかし、現行の制度では、素行に問題があっても生活に困窮していると判断されれば保護費は支給され、ケースワーカーが脱法行為を見抜くのは事実上不可能。最初の審査を過剰に厳しくすれば餓死や孤独死を招きかねず、各自治体とも対応に苦慮しているのが実態という。


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