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2007年10月18日(木) 03時02分

1億円不正流用のPCI、系列会社と架空契約結び資金捻出読売新聞

 国が中国で進めている遺棄化学兵器処理事業を巡る約1億円の不正流用事件で、大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)が、受注した事業の費用を流用するため、グループ会社と架空の業務委託契約を結び、資金を捻出(ねんしゅつ)していた疑いの強いことがわかった。

 このグループ会社について、PCI関係者は「不正経理を行うためのトンネル会社」としている。東京地検特捜部は、こうした不正経理にPCIの荒木民生元社長(71)も関与していた可能性があるとみている。

 17日に特別背任容疑で捜索を受けたPCIのグループ企業「遺棄化学兵器処理機構」(港区)は、2004年度、内閣府から遺棄化学兵器処理事業の総合管理業務などを約79億円で随意契約で受注、その一部をPCIなどの共同企業体に委託した。

 関係者によると、PCIはこの業務の一部について、04〜05年にグループ会社「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM、千代田区、現パシフィック事業開発)に約2億円で再委託、PPMが複数の下請け会社に約1億円で発注したことにしていた。

 ところが、このPCIとPPMとの約2億円の再委託契約は書類上だけで実態がなく、実際は、PCIが直接、下請け会社に発注していた疑いが強いという。

 PPMから業務を下請け受注したとされる都内の建築設計会社は、取材に、「業務はPCIから直接、受注していた。PPMからは受けていない」と話している。

 特捜部は17日、下請け会社数社も捜索し、今後、下請け業務の実態についても調べを進める。

 PPMは、都内の土地開発計画を巡り、荒木元社長が警視庁に告発された特別背任疑惑でも、約1億5000万円を捻出する不正経理にかかわったとされている。PCIの関係者は「PPMは、荒木元社長が不正経理を行うためのトンネル会社だった」としている。

 特捜部の捜索を受け、PCIとPPMは17日、連名で、「鋭意、事実関係を調査中で、現段階では本件に関してのコメントは控えたい。特捜部の捜査には全面的に協力していく」との書面を出した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071018i101.htm