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2007年10月16日(火) 06時00分

「紀元会」女性信者21人でリンチ…すし店経営女性暴行死事件スポーツ報知

 長野県小諸市で9月、すし店経営の奥野元子さん(63)が暴行を受けて死亡した事件で、長野県警は15日、傷害致死容疑で同市の宗教法人「紀元会」の無職・窪田康子容疑者(49)ら中学生を含む会員計21人を逮捕した。いずれも女で年齢は15歳から80歳。県警は9月、同会の会員だった奥野さんを自宅で暴行したと話した夫の和宏容疑者(35)ら家族4人(同会会員)を、傷害致死容疑で逮捕し調べていたが、暴行に同会側がかかわった疑いが浮上。この日、捜査本部を設置、同会本部など数か所を家宅捜索していた。

 長野県の閑静な住宅街で起こった事件は、21人の“女だらけ”の集団暴行という異常事態に発展した。長野県警はこの日朝から、紀元会本部などを家宅捜索、幹部らに事情聴取を行い、15歳から80歳まで会員21人を逮捕。すべて女で、窪田容疑者は同会の創設者の娘だった。

 調べでは、窪田容疑者ら20人は9月24日午後11時半ごろから約1時間にわたり、紀元会施設内で、奥野さんを集団で殴ったり蹴ったりし、外傷性ショックで死亡させた疑い。21人の大半が容疑を認めているという。長野県警は、奥野さんの生活態度などをめぐる話し合いの中で、トラブルに発展した可能性があるとみている。

 紀元会(舟橋元博代表)は1970年に設立された神道系の宗教法人で本部は小諸市。信者は数百人いるという。あらゆる病気が治るとの触れ込みの「紀元水」と呼ぶ飲料水を勧誘に使っていたとされ、同会の信者の一部は会員と呼ばれており、組織内の位置付けが信者の中で上位とみられる。

 事件は9月25日未明、小諸市内の病院が「運ばれた女性が死亡し、体に殴られたような跡がある」と通報して発覚。奥野さんの顔や体には複数の打撲痕があった。

 家族4人が自宅で暴行したと話したため、小諸署は同日、傷害容疑で夫の和宏容疑者(35)ら4人を逮捕。司法解剖で、けがと死亡の因果関係が強まり、傷害致死容疑に切り替えて調べていた。

 4人は家族間の不仲を犯行の動機に挙げたが、供述が不自然で、小諸署は4人を追及、うその供述をするよう紀元会幹部の指示があったことを認めたという。同署は10月5日に4人のうち二女の森美智子容疑者(26)ら2人を証拠隠滅の疑いで再逮捕。長野地検はこの日、和宏容疑者と長女の森久里子容疑者(37)の2人を傷害致死罪で起訴した。

 ◆紀元会 1970年10月設立の宗教法人で、本部は長野県小諸市。文化庁によると、「日之本大神」を主神とし、日本神道に従って祭祀(さいし)を行い、神道を信奉する者を育成するなどとしている。96年9月、2県以上にまたがって活動する宗教法人として、管轄が長野県から文部科学省になった。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20071016-OHT1T00044.htm