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2007年10月16日(火) 15時41分

「抜け道はいくらでも」銃刀法改正で暴力団組員産経新聞

 資金源や縄張りなど不正な利益を得るための発砲に無期または5年以上の懲役と最高罰金3000万円の併科が可能になる改正銃刀法。そのターゲットは、大量の銃器を隠し持つとみられる暴力団の封じ込めだ。銃をめぐる厳罰化に暴力団はどう動くのか。指定暴力団関係者は産経新聞の取材に「厳罰化は脅威だが、対策はいくらでも立てられる」と話した。
 取材に応じたのは、全国的な規模で組織展開する指定暴力団の組員。自身も配下にいくつかの組織をもつが、外観からは普段着のビジネスマンといった印象。「繁華街でも職務質問は一度も受けたことがない」という。
 「最高3000万円の罰金は脅威だ。懲役も最低5年というのは厳しい。配下の者が有罪になれば、(罰金や生活費の)面倒を見るだろうが、その工面が(組織幹部にとって)相当な負担になる」
 組員は、配下組員の高額罰金が組織に波及することを認めたが、一方で「(改正法施行後は)どうしても消さなければならない者がいる場合、配下組員など使わず、外部のヒットマンを使ったり、拳銃の代わりに刃物を使わせる」とも指摘。
 「3000万円払う覚悟で抗争に道具(銃)を使わせる組織はないと考えているのかもしれないが、生き残っていく組織の収益構造は劇的に変化している。今は過渡期で散発しているが、これからはシマ(縄張り)を争って弾を撃ち込み合うマネをしなくなる」。警察当局がねらう「抑止力」効果は高くないというのだ。
 改正案では拳銃の所持や、銃弾と同時に所持する加重所持にも、懲役刑に加え高額の罰金を科せる。拳銃の隠し方がますます巧みになるとみられている。
 組員によれば、管理、隠匿方法は組織の構成と密接にからむという。
 「すでに警察が言う構成員、準構成員の区分けは無意味だ。たとえば、自分(組員)の生き方考えに共鳴した若い人が『自分には仕事も家族もあるので、組に専従はできないが、杯をください』と言ってきたとする。自分はすぐに杯を与える。生活も見た目も全く変わらないそのような人物が組員だと警察が把握できる訳がない。そのような人物が確保した場所など、警察が及びもつかない保管場所はある」。組員はそう話した。

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