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2007年10月16日(火) 03時04分

大手コンサル元社長ら、国の海外事業費1億不正流用読売新聞

 政府開発援助(ODA)事業を多数手掛ける大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)の元社長(71)らが、受注した国発注の海外事業を巡り、事業費の一部約1億円を不正に流用していた疑いがあることが、関係者の話で分かった。

 東京地検特捜部も同様の事実を把握しており、特別背任容疑で近く本格捜査に乗り出す。

 PCIは、国内外の約40社で構成する建設コンサルタントグループの中核会社で、主に国際協力機構(JICA)などが発注するODA事業を数多く受注している。

 関係者によると、問題の事業は、国が発注した海外事業で、同グループの関連会社が受注した後、PCIなどに業務を委託した。PCIは2004〜05年、この事業の一部をグループの土木建築会社「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM、現パシフィック事業開発)に、約2億円で再委託した。

 その後、PPMは、この事業を、さらに複数の会社に下請け発注したが、その額は約1億円にとどまっており、差額分の約1億円の使途が不明になっているという。当時、PPMの社長は、PCIの元社長が務めていた。

 このため、特捜部では、PCI元社長らが、本来1億円で済む再委託事業を2億円でPPMに委託し、PCIに差額の1億円分の損害を与えた疑いがあるとみて調べている。

 PCIを巡っては、会計検査院の調べなどで、2006年までにコスタリカなど16か国のODA事業で不正経理が相次いで発覚。JICAから06年3月まで計3回、18か月間に及ぶ異例の長期の指名停止処分を受けた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071016it01.htm?from=top