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2007年10月16日(火) 07時19分

赤福JAS法違反 保健所の「指導窓口」機能せず朝日新聞

 餅菓子の老舗(しにせ)「赤福」(三重県伊勢市)の製造日偽装問題で、三重県が03年度から、食品衛生法と日本農林規格(JAS)法の両方に関係する食品表示について、伊勢市などを担当する伊勢保健所に指導相談部署を設置していながら、JAS法違反となる今回の偽装を、8月に農林水産省から指摘されるまで認識していなかったことが15日、関係者の話で分かった。保健所による指導監督は、JAS法に関して機能していなかったことになる。

 この部署は食の安全・安心監視課。牛海綿状脳症(BSE)問題などで食の安全に消費者の関心が高まったことなどを受け、03年度に伊勢など3保健所に設置。「食品衛生法、JAS法等も含めた表示の指導・相談」を業務に掲げた。

 県薬務食品室は「定期監視指導がある保健所なら相談にものりやすく、事例の発見にも有利と考えた」と説明するが、専門職員を配置するなど、JAS法に違反する行為を見つけて指導するための特段の態勢は取っていなかったという。

 県は偽装発覚を受けた12日の会見などで、赤福の行為は食品衛生法上は問題なかったと説明。同社からの相談にも「食品衛生法上は問題ない」と回答していたことを認めていた。しかし、赤福の事業所が他府県にまたがるため、JAS法上の直接的な管轄は農水省だとして、「県は管轄外」と説明していた。

 農水省は、赤福が、出荷できる状態になって製造日を入れた製品を冷凍し、後日、解凍した日を改めて製造日として出荷していた点などを、JAS法違反の不適正な表示と指摘、改善を求めた。同社がホームページ上で「作ったその日の内に味わっていただく」と作りたてであるかのように表記していた点も、消費者に誤解を与える行為として重視している。

 大市喬・県薬務食品室長は「両法にまたがる部署を設置しても、保健所にとってはJAS法は専門外。主に相談を受けた場合の窓口としての位置づけで、簡易な違反以外は発見できる態勢ではなかった」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/1016/NGY200710150013.html