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2007年10月15日(月) 23時09分

宗教法人「紀元会」の女20人逮捕…傷害致死容疑スポーツ報知

 長野県小諸市の宗教法人「紀元会」の会員で、すし店経営の奥野元子さん(63)が同会施設内で集団暴行を受け死亡した疑いが強まり、長野県警は15日、傷害致死容疑で小諸市の無職、窪田康子容疑者(49)ら中学生を含む15歳から80歳の会員の女20人を逮捕した。県警は同日、捜査本部を設置、紀元会本部など数か所を家宅捜索した。

 県警は9月、自宅で暴行したと話した夫の和宏容疑者(35)ら家族4人(紀元会会員)を傷害容疑で逮捕、傷害致死容疑に切り替え調べていたが、暴行に同会側がかかわった疑いが浮上、強制捜査に踏み切った。

 県警は、奥野さんの生活態度などをめぐる話し合いの中で、トラブルに発展した可能性があるとみている。

 紀元会は1970年に設立された神道系の宗教法人で本部は小諸市、舟橋元博代表。信者は数百人いるという。あらゆる病気が治るとの触れ込みで「紀元水」と呼ぶ飲料水を勧誘に使っていたとされる。県警は同会の実態解明を進める。

 県警によると、同会の信者の一部は会員と呼ばれており、組織内の位置付けが信者の中で上位とみられる。

 調べでは、窪田容疑者ら20人は9月24日午後11時半ごろから約1時間にわたり、小諸市の紀元会施設内で、奥野さんを集団で殴ったり、けったりし、外傷性ショックで死亡させた疑い。

 県警によると、窪田容疑者は紀元会の創設者の娘。20人の大半が容疑を認めているという。

 現場には家族4人を含む会員数十人が会合で集まっており、家族が病院に運んだ。県警は逮捕した20人以外にも暴行に加わったメンバーがいないか捜査している。

 小諸市の病院が9月25日未明、「運ばれた女性が死亡し、体に殴られたようなあとがある」と通報して発覚。奥野さんの顔や体に複数の打撲痕があった。

 小諸署は同日、傷害容疑で和宏容疑者ら4人を逮捕。司法解剖で、けがと死亡との因果関係が強まり、傷害致死容疑に切り替えた。

 4人は家族間の不仲を犯行動機に挙げたが、供述が不自然だったため、小諸署は4人を追及。うその供述をするよう紀元会幹部から指示があったことを認め、ほかにも暴行に加わった者がいると話したという。

 4人のうち奥野さんの二女(26)ら2人は10月5日、傷害致死罪については処分保留となり、小諸署が証拠隠滅の疑いで再逮捕した。

 長野地検は15日、和宏容疑者と長女の森久里子容疑者(37)の2人を傷害致死罪で起訴した。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20071015-OHT1T00146.htm