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2007年10月15日(月) 23時50分

愛知県警、力士急死で「事件性なし」と遺体の司法検視せず読売新聞

 大相撲の時津風部屋宿舎で今年6月、序ノ口力士の斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=しこ名・時太山=がけいこ中に急死した問題で、愛知県警犬山署が斉藤さんの死因を「病死」と判断したため、刑事訴訟法に基づく司法検視を行っていなかったことが15日、わかった。

 斉藤さんの死因については、遺族が無数の傷がある遺体に疑問を抱いたことをきっかけに解剖が行われ、「多発性外傷性ショック死」だったことが判明している。

 司法検視は刑事訴訟法で定められた手続きで、事件性があるかを判断するため、検察官や警察官が行う。しかし、今回のケースでは、事件性がないことが明らかな場合に、医師や警察官が死因などを特定するために行う死体見分(行政検視)しかしていなかった。

 同署などによると、前時津風親方や兄弟子らが「ぶつかりげいこで倒れた」と説明したほか、斉藤さんが運ばれた同県犬山市の犬山中央病院が「死因は急性心不全」としたことなどから、事件性はないと判断。県警本部に司法検視の要請をせず、死体見分調書を作成したという。

 斉藤さんの遺体を解剖した新潟大学の出羽厚二准教授(法医学)は「専門家である検視班が見ていないという意味では、初動捜査さえもしていないと言える」と批判している。

 同署では、「当時としては適正な手続きで行政検視を実施したが、結果的に問題があったことは事実。批判は真摯(しんし)に受け止めたい」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071015it16.htm?from=top