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2007年10月14日(日) 05時20分

「大物仕手筋」西田容疑者 別の増資計画にも関与か産経新聞

 ■ジャスダック企業 経営陣から内部情報

 ジャスダック上場の旧南野建設(現A・Cホールディングス)の株取引をめぐる株価操作事件で、逮捕された大物仕手筋、西田晴夫容疑者(57)が、逮捕直前の今月発表されたジャスダック上場の別の企業の増資計画に関与していた疑いがあることが分かった。この会社が増資にともない発行する新株予約権の割当先は、いずれも西田容疑者の知人が実質的な代表者の海外ファンドとされ、西田容疑者はこの上場企業の経営陣から内部情報を得て仕手戦を準備していたという。

 西田容疑者の仕手戦は、業績不振にあえぐ上場企業に大量の新株を安値で発行させて、これを「タネ玉(ぎょく)」に株価をつり上げる手口だったとされる。仕手筋の力を借りて資金調達を図った上場企業の姿が過去にも見え隠れしていた。

 この企業は今年に入り、不祥事による本業の不振で業績が悪化。株価は一時、年初来高値の約15%まで低迷していた。今月に入り、第三者割り当てによる新株予約権発行の巨額増資を発表。割当先は英領バージン諸島所在の2つのファンドだけという不透明さだった。

 関係者によると、このファンドはいずれも英国在住の西田容疑者の知人女性が実質的な代表者で、西田容疑者らが過去に手がけた別銘柄の仕手戦でも、新株の割当先として登場していた。

 西田容疑者は9月上旬から、西田グループと呼ばれる投資家たちに、この上場企業名を挙げて「次はこの銘柄をやる。近く大幅増資が発表される」と繰り返し予告していた。9月下旬には、ファンド側と打ち合わせのため英国に渡航する予定だったが、証券取引等監視委員会などがパスポートの任意提出を求めたため、渡航を断念した。

 しかし、その後も周囲には、「側近が代理で株の引き受け準備を進める。心配ない」と説明。10月に入り、この上場企業が西田容疑者の予告通り増資を発表した。

 逮捕前日の11日には、週明け(15日)に上京し、この上場企業社長らと会合を持つ予定だと周囲に説明していた。

 「ボロ株」と呼ばれる業績不振企業の株に、巨額の第三者割当増資などの「材料」がついて仕手株化するケースは、近年さまざまな銘柄で繰り返されてきた。そのたびに西田容疑者の関与が指摘されてきた。

 西田グループの投資家らによれば、こうしたボロ株会社の新株を投資事業組合や海外ファンドなど実体の見えにくい「ハコ」を使って引き受け、暴力団などの資金を募って相場を形成するのが西田容疑者の常套(じょうとう)的な手口だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071014-00000047-san-soci