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2007年10月14日(日) 19時55分

「愛知県警の初動にミス」力士急死で解剖医が批判産経新聞

 大相撲・時津風部屋の序ノ口力士、時太山=当時(17)、本名斉藤俊(たかし)さん=が愛知県犬山市でけいこ後に急死した問題で、遺体を解剖した新潟大大学院の出羽厚二准教授(法医学)が14日、産経新聞の取材に対し、「検視官に見せないで遺体を病死として処理し、被疑者になる可能性のある元時津風親方に返してしまった。初動捜査さえしていない可能性がある」と愛知県警の初動捜査を批判した。

 斉藤さんは6月26日、犬山市の部屋で、約30分のぶつかりげいこをした後に重体となり、午後2時10分ごろ、病院で死亡が確認された。臨床医は急性心不全と診断。愛知県警は事件性が薄いとして、司法解剖せずに時津風部屋に遺体を返還した。遺体を引き取った家族が部屋側の説明に納得できず、解剖を要請。6月28日、新潟大医学部の法医学教室で解剖が行われた。

 解剖の結果、肩や尻に多くの内出血が確認され、死因は打撲によるショックが積み重なった「多発外傷による外傷性ショック死」と判明した。

 出羽准教授は「急性心不全とは死因が分からないという意味で、遺体の傷を見れば、解剖の必要があると判断するのが当然。愛知県警は傷害致死になりそうな事件をスルーしてしまった。斉藤さんの遺族にきちっと謝らなければならない」と指摘した。

 さらに、出羽准教授は「今回だけでなく、日本では事件性があるのに遺体がすでに焼かれてしまって立証できないケースが多い。監察医が大都市にしかおらず、病院に病理医や法医の定員が確保されていないのが根底の問題」と死因究明に向けた制度改善を訴えた。

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