餅菓子の老舗（しにせ）「赤福」（三重県伊勢市）が商品「赤福餅」の製造日を偽って表示したとして、日本農林規格（ＪＡＳ）法に基づく農林水産省の指示を受けた問題で、同社の浜田典保社長（４５）らが１２日、伊勢市内で記者会見した。一度包装し冷凍保存した商品を、解凍して日付を変えて出荷していたことを認め、「（違法という）認識が足りなかった」と謝罪した。
同社の説明によると、「赤福餅」は製造日に出荷されるものと、冷凍保存されるものがある。冷凍保存された商品は約２週間以内に出荷されるが、その際、製造時の包装をはがして新たな包装を施し、当日の日付を入れた「謹製」というスタンプを押し直していた。それに伴って消費期限も新しくしていた。
製造日に工場から配送車で持ち出した商品のうち、残って持ち帰った商品で店頭に並べる前のものも、「未出荷品」として冷凍保存に回していた。一度店頭に並べた商品は回収し、冷凍したことはないとしている。
会見で同社は「当日作りたての赤福というお客様のイメージとの違いがあるという認識も否めない」と述べた。だが、商品の冷凍保存に関しては「品質は生のものと遜色（そんしょく）ない」「冷解凍も製造工程の一過程という認識だった」と釈明した。
偽装が始まった経緯は７３年の遷宮で観光客が増加したため「欠品で『申し訳ございません』ということがないようにした」と説明した。
三重県も１２日午後、会見を開き、伊勢保健所が以前、解凍した日を製造日とすることについて相談を受けていたことも明らかにした。８月に農水省から指摘されるまで、ＪＡＳ法違反の可能性に気付かなかったという。