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2007年10月13日(土) 06時05分

前頭取の知人女性に好条件融資 東和銀行問題朝日新聞

 金融庁から業務改善命令を受けた東和銀行が、旧大蔵省(現財務省)出身で約13年間にわたりトップをつとめた増田熙男前頭取(70)の知人女性に対し不適切な融資をしていたことがわかった。女性は同行の関連会社から土地を購入したうえ、保証会社をはさまず同行からの直接融資で自宅を新築するなど優良顧客並みの扱いを受けていた。

 この女性は、前橋市の小料理店の元経営者。女性は99年9月、東和銀行の関連会社が保有する同市内の宅地(179平方メートル)を購入し、木造2階建ての自宅(延べ床面積約96平方メートル)を新築。土地・建物を担保に2400万円の住宅ローンを組んだ。その際、一般顧客ならつける信用保証会社の保証をつけない扱いを受けたため、女性は保証料を払わずに済んだ。

 関係者によると、増田氏は、女性が店を開いた10年近く前からの知り合い。増田氏や同行幹部らはこの小料理店を頻繁に使っていたが、増田氏が引責辞任した今年5月に閉店した。

 増田氏は「私が積極的にかかわった融資ではない」といい、女性も「すでに全額返済した。何も(お金を)もらったわけではない」と話し、やましい点はないと強調する。しかし、企業倫理に詳しい弁護士は「第三者から見て不適切という疑念を抱かれる融資・取引は行わないのが経営者の常識。この融資は社会通念上、問題だ」と話す。

 増田氏は群馬県出身。旧大蔵省大臣官房審議官や岩手県副知事などを経て92年に東和銀に入り、94年から頭取。今年5月に過去最大の赤字決算を計上した責任をとり辞任したが、「うるさい直言型の部下を遠ざけ、周囲をイエスマンばかりにして長らく頭取に居座った」(あるOB)と天下りの長期化が放漫経営につながった、との批判が出ている。

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 東和銀行のコメント「個々の取引については一切お答えできない」

http://www.asahi.com/national/update/1012/TKY200710120333.html