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2007年10月13日(土) 22時43分

楽天、TBS株進まぬ買い増し 攻防から2年朝日新聞

 楽天とTBSによる資本・業務提携を巡る攻防が始まってから、13日で丸2年。楽天は、保有比率20%超までTBS株を買い増すことに、TBSの第三者機関から「お墨付き」を得たが、現段階では実行に至らず、提携交渉も進まない。楽天は、交渉に消極的なTBSとの関係を悪化させないため、慎重に調整を続ける考えだ。(橋本幸雄、冨田佳志、中野和郎)

新オフィスの「お披露目会」で記者たちと談笑する楽天の三木谷浩史社長。TBS問題についてはコメントしなかった=東京都品川区で

 楽天は、途絶えた業務提携交渉の再開に意欲を示す。社外取締役だった鈴木尚氏を、1日付でメディア担当取締役として社内に迎え入れた。ゲームソフト「ファイナルファンタジー」をヒットさせた旧スクウェア(現スクウェア・エニックス)の創業者の一人で、ソフト事業に強い鈴木氏に、TBSとの交渉進展を託すとみられる。

 TBSは9月12日、楽天への買収防衛策を発動しないことを決めた。一方で、井上弘社長は同日の会見で「業務提携交渉は株式売却が前提」と述べ、交渉に消極的な姿勢を崩していない。楽天はTBSと接触を続けているが、TBSの姿勢を転換させるだけの提案はできていないようだ。

 楽天の三木谷浩史社長は沈黙を続けている。11日に品川区の新本社「楽天タワー」を報道陣に公開した際も、TBS問題については「またの機会に」とだけ述べ、多くを語らなかった。

 交渉の難航ぶりは、TBS株の買い増しが進まないことにも表れている。楽天は持ち株比率を19・86%から20%超に高めてTBSを持ち分法適用会社とし、TBSの業績を自社の決算に反映させたい考えだが、TBSは「受け入れがたい」(井上社長)と反発したままだ。

 企業の株式を20%超保有すれば、持ち分法適用会社化に会計規則上の問題はない。会計関係者にも「株を持たれた側が拒否する例は、聞いたことがない」との声がある。

 楽天にとって、TBSを持ち分法適用会社にすることは、1100億円を超す巨額投資を無駄にしない策だけに、両社の監査法人、弁護士も交え、ねばり強い話し合いを進めたい考えだ。「当面、楽天の決算期の12月末が一つの節目になりそう」(関係者)という。

http://www.asahi.com/business/update/1012/TKY200710120272.html