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2007年10月13日(土) 02時05分

赤福、解凍出荷認める 社長謝罪「偽装の意図ない」朝日新聞

 餅菓子の老舗(しにせ)「赤福」(三重県伊勢市)が商品「赤福餅」の製造日を偽って表示したとして、日本農林規格(JAS)法に基づく農林水産省の指示を受けた問題で、同社の浜田典保社長(45)らが12日、伊勢市内で記者会見し、一度包装し冷凍保存した商品を、解凍して日付を変えて出荷していたことを認めた。同社は冷凍保存を工程の一部と位置づけ、出荷日を製造日としたことは問題ないと考えていたと説明。偽装の意図は否定したが、消費者の期待を裏切ったとして謝罪した。

 併せて指示された原材料の記載順の間違いについても、「認識不足だった」とミスを認めた。

 同社の説明によると、「赤福餅」は製造日に出荷されるものと、冷凍保存されるものがある。冷凍保存された商品は約2週間以内に出荷されるが、その際、「まき直し」と称して製造時の包装をはがして新たな包装を施し、当日の日付を入れた「謹製」というスタンプを押し直していた。それに伴って消費期限も新しくしていた。

 製造日に工場から配送車で持ち出した商品のうち、残って持ち帰った商品で店頭に並べる前のものも、「未出荷品」として冷凍保存に回していた。一度店頭に並べた商品は回収し、冷凍したことはないとしている。

 冷凍の工程とそれに伴う表示の書き換えは73年ごろに始まった。同年、伊勢神宮の社殿を20年に一度建て替える行事「式年遷宮」があり、観光客の増加が予想されたため、商品の売り切れを防ごうと、作り置きできるように零下35度で冷凍処理して保存する設備を導入。その後も需給調整のため使い続けた。冷凍庫に常時入っていた数は過去3年で約3300〜6千個に上る。

 日付の表示を偽ったことについて、同社は「(違法という)認識が足りなかった」と説明。さらに、「当日作りたての赤福というお客様のイメージとの違いがあるという認識も否めない」とも述べ、製造日について、消費者を誤解させている可能性を認識していたことを認めた。ただ、「お客さんを欺こうとしたことはない」と釈明した。

 冷凍保存は農水省が立ち入り調査をした2日後の9月21日から完全にやめており、現在は表示の書き換えはないという。

 同社は12日から全直営店の営業を自主的に停止し、委託販売店からも商品を引き揚げた。同社は2週間をめどに農水省に改善計画を提出し、受理されたら営業再開を検討するという。

 三重県も12日午後、会見を開き、「製造工程には食品衛生上問題はなく、健康被害に関する問題は全くない」と強調した。伊勢保健所が以前、赤福側から解凍した日を製造日とすることについて相談を受け、こうした製法を把握していたことも明らかにした。しかし、8月に農水省から指摘されるまで、JAS法違反の可能性に気付かなかったという。

http://www.asahi.com/national/update/1013/NGY200710120017.html