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2007年10月12日(金) 03時06分

手製「死ねる薬」販売 嘱託殺人容疑者 収入100万円朝日新聞

 川崎市高津区の派遣社員西沢さやかさん(当時21)が携帯電話の自殺サイトを通じて依頼した男に殺害された事件で、嘱託殺人の疑いで逮捕された電気工斉藤一成容疑者(33)が、自ら開設したサイトを通じて販売した睡眠導入剤などの総額が100万円にのぼることが11日、神奈川県警の調べで分かった。斉藤容疑者はメールで「ハルシオン10錠3000円」「サイレース10錠5000円」などと基準の価格を示す一方、「死ねる薬」として睡眠導入剤を混ぜた栄養ドリンクも販売。借金が600万円近くあり、「金がほしいからサイトを開設した」と供述しているという。

 調べでは、斉藤容疑者は昨年6月に携帯電話の掲示板サイトを開設し、首都圏などの十数人に睡眠導入剤を数千円から二十数万円で販売していた。

 斉藤容疑者は7月に麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕、起訴された。10月の初公判で検察側は斉藤容疑者の売買の実態を指摘した。

 それによると、斉藤容疑者は掲示板に「睡眠薬」と書き込み、メールで連絡してきた購入希望者に価格を伝え、銀行口座への入金を受けた後に郵送などで販売。依頼内容や経済状態などに応じてメールの交渉で最終的な価格を決める一方、サイレース10錠を希望した横浜市の購入者には2錠の「おまけ」をつけたり、「死ねる薬」としてハルシオンなどを栄養ドリンクに混ぜた小瓶も売り込んだりしていたとされる。

 斉藤容疑者は複数の消費者金融などから600万円近い借金があった。月に20万円ほどの返済に追われていたため、県警は睡眠導入剤の販売を始めたとみている。西沢さんが支払った20万円を含め、約1年間の売り上げは100万円近くにのぼるという。

 県警によると、「死にたい」と西沢さんが初めて投稿をした4月5日以降、斉藤容疑者と複数回のメールのやり取りを始めた。この中で斉藤容疑者が「薬を使えば楽に死ねますよ」「薬を持って家に行きます」などと持ちかけたという。価格交渉もしており、殺害の3日前に睡眠導入剤と自殺を手助けする報酬を合わせた額20万円が決まったと見ている。

 西沢さんの部屋からは携帯電話や鍵がなくなっていた。調べに対して斉藤容疑者は「西沢さんの携帯電話を持ち帰った」と供述。殺害に使ったとみられるポリ袋も見つかっておらず、県警は、斉藤容疑者が関与を隠す目的で現場から持ち去ったとみて携帯電話などを捜している。

http://www.asahi.com/national/update/1012/TKY200710110464.html