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2007年10月12日(金) 16時41分

「赤福」製造日を偽装 30年以上システム化 農水省是正指示産経新聞

 伊勢土産の定番として親しまれている赤福もちの製造元「赤福」(三重県伊勢市)が30年以上にわたり、消費期限や製造年月日を偽って表示、販売していたことが12日わかった。農林水産省は同日、日本農林規格(JAS)法に違反しているとして、濱田典保社長らを名古屋市の東海農政局に呼び、すべての商品について不適正な表示を適正表示に是正した上、原因究明や再発防止策を実施するよう指示した。これを受けて、駅の売店や百貨店の店頭から、赤福もちを一斉撤去する動きが広がった。

 農水省によると、同社では、製造後、包装の済んだ商品の一部や配送トラックに残った商品を工場に引き揚げて冷凍。必要に応じて加熱・解凍を行って再出荷日を製造日とし、消費期限もずらしていた。

 製造日は最大約1週間延ばし、3年間に総出荷量の約2割にあたる約600万箱を出荷していた。同社では、この手法を「まき直し」と称し、昭和48年からシステム化して行っていた。

 また、商品に含む重量順に「砂糖、小豆、もち米」と表示すべきところを、「小豆、もち米、砂糖」の順に偽って表示していた。

 関係者によると、伊勢保健所に「消費期限の過ぎた赤福もちを販売している」という情報があり、農水省と同保健所が先月19日から3回にわたり、同社の本社や営業所を立ち入り調査に入った。

 製造年月日の表示は義務づけられていないが、事実と違う表示をした場合は、JAS法違反にあたるという。

 赤福は「検査が入ったことは事実だが、そのほかのことはまだコメントできない」としている。また、直営店での販売を12日は自粛、13日以降も当面は自粛する方針で、駅売店などへの納品もストップした。

 ◆農水相「大変重大だ」

 若林正俊農水相は12日の閣議後記者会見で「信頼性の高い老舗でこのような事態が起きたことは大変重大だ」と述べ、食品の法令順守に対する意識改革を徹底させる考えを示した。

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【用語解説】赤福

 1707(宝永4)年、伊勢神宮・内宮に近いおはらい町に開業。今年でちょうど創業300年を迎える老舗の和菓子メーカー。東海地方だけでなく、近畿一円の駅売店や百貨店などで販売、年間売上高は80億円を超え、単品の土産としては日本一とも言われる。名前の由来は、「赤心慶福」という言葉から、「真心(赤心)を尽くし、人の福を自分のことのように喜ぶことができる(慶福)」の意味。あんこが波打つような形状は、伊勢神宮内を流れる五十鈴川のせせらぎを表しているという。


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