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2007年10月12日(金) 00時00分

株価操作容疑で「最後の大物仕手筋」を逮捕、大阪地検特捜部朝日新聞

 大阪を拠点とする仕手集団メンバーによるジャスダック上場企業の株価操作事件で、大阪地検特捜部は12日、証券取引法違反(相場操縦)容疑で、仕手集団の中心人物とされる投資アドバイザー西田晴夫(はれお)容疑者(57)=大阪市=と、飲食店経営榎本繁容疑者(60)=同=を逮捕し、元金融業谷口豊容疑者(51)=東京都港区、別の同容疑で逮捕=を再逮捕した。証券取引等監視委員会と合同で西田容疑者の自宅などを家宅捜索した。3人は容疑を認めているという。

 関係者によると、西田容疑者はバブル崩壊後の証券業界で「最後の大物仕手筋」と呼ばれていた。調べでは、3人は当時店頭売買されていた「南野(なんの)建設」(現ジャスダック上場「A・Cホールディングス」、東京都港区)株の株価つり上げを計画。02年11〜12月、同社株が活発に取引されているよう一般投資家に見せかける目的で、売買を繰り返して株価を不正に上昇させ、売り注文と買い注文を同時に出す「仮装売買」をした疑い。西田容疑者が榎本容疑者から株価つり上げの依頼を受けたという。

 南野建設株は02年9月初めごろまでは1株30円台前後と低迷していたが、同12月13日には一時350円まで上昇。特捜部と監視委は05年3月、西田容疑者らが株価高騰に関与したとみて関係先を家宅捜索するなど捜査に着手したが、同容疑者の海外渡航などで難航した時期もあったという。

 関係者によると、西田容疑者は大阪府守口市職員時代に株取引で多額の利益をあげた。退職後、知人や元証券マンらと離合集散を繰り返しながら多くの銘柄で仕手戦を仕掛けた。西田容疑者が売買に参入すると「N氏銘柄」とも呼ばれ、一般投資家もその値動きに注目したという。同容疑者を知る投資関係者は「バブル崩壊後に株式相場が冷え込む中、西田氏は時代が求めたカリスマだった」と話した。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200710120067.html