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2007年10月11日(木) 00時00分

グーグルが無料オフィスソフト、狙うはMSの牙城読売新聞

 グーグルが8月15日、サン・マイクロシステムズ製の業務ソフト「スターオフィス」(日本での製品名はスタースウィート)の無償配布を始めた。ワープロなどのオフィス機能を誰でも無料で利用できる。この分野で独占的なシェアを握る「マイクロソフト・オフィス」に真っ向から対抗した格好だが、はたしてその牙城を揺るがすことができるか——。

米サン製「スタースウィート」を配布

グーグルパックにラインアップされた「スタースウィート」

 グーグルが無償配布を始めたスターオフィスは、オープンソースのオフィスソフト「オープンオフィス・オルグ」をサンが商品化したもので、ワープロ、表計算、プレゼンテーション、データベース、ドローイング、ウェブパブリッシングといったアプリケーションがセットになっている。

 このアプリケーション最大の特徴は、マイクロソフト・オフィスの各種データ形式と互換性を持つ点。このため、「ワード」や「エクセル」などとの間でファイルの読み書きが可能になっている。また、サンなどが将来のオープンな標準規格と位置付けている「オープン・ドキュメント・フォーマット」(ODF)との互換性も備えている。

 サンによると、スターオフィスのベースとなっているオープンオフィス・オルグは、これまで世界中で1億人以上のユーザーがダウンロードしたとされている。スターオフィスはその実績を基にした折り紙付きの商品というわけだ。

 グーグルはこのスターオフィスを、無料ソフト群「グーグルパック」にラインアップ。既にグーグルパックとして提供されているデスクトップ検索ソフト「グーグルデスクトップ」や世界の街を閲覧できる「グーグルアース」、ウェブブラウザー「ファイアフォックス」などと同様、無償でダウンロードできるようにした。

 しかもグーグルパックで提供されるスターオフィスには、グーグルのウェブ検索機能との連携強化が図られており、今後さらにほかのサービスやネット広告とも連携させていく思惑があるようだ。

無料化で一気に普及も

 サンは現在、スターオフィスを約70ドル(日本でのスタースウィートの実勢価格は8000円程度)で販売している。今回のグーグルによる無償提供は、ダウンロードされた分の料金を、グーグルがサンへ支払うという仕組みになっているようだが、その具体的な金額については明らかにされていない。ちなみにサンは、今後も同ソフトの販売を継続するとしている。

 今回、グーグルがスターオフィスの無償配布を始めたことで俄然クローズアップされるのは、オフィスソフト分野で独占的なシェアを握るマイクロソフト・オフィスとの激突だ。マイクロソフト・オフィスは機能に応じて様々なパッケージがあり、2万円前後から9万円前後で販売されている。価格差や提供方法の違いが今後の普及競争にどのような影響を与えるか、注目される。

 オフィスソフトに詳しい専門家がこう話す。

 「(日本版の)スタースウィートの使い勝手はワードやエクセルなどと比べても全く遜色ない。グーグルのお勧めソフトでしかも無料となると、個人ユーザーを中心に一気に普及が進むかもしれない。さらに今後はグーグルのドキュメント機能などとの連携強化も期待でき、マイクロソフト・オフィスを超えるオフィスソフトとして進化を遂げていく可能性があるのではないか」

 はたしてマイクロソフト・オフィスの牙城は揺らぐのか。今回の動きはさらに、オフィスソフトの勢力争いにとどまらず、ソフトビジネスのあり方にも大きな影響を及ぼすと見られるだけに、今後の動向が大いに注目される。(フリージャーナリスト・松岡功/2007年9月24日発売「YOMIURI PC」2007年11月号から)

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20071011nt08.htm