記事登録
2007年10月11日(木) 16時02分

闇サイト仲間、人気携帯を中国人に転売読売新聞

 犯罪仲間を募るインターネット上の闇サイトを通じて知り合った3人の男が、偽造印を使って購入した最新機種の携帯電話を、電話番号などを記録したICチップを抜き取り、中国人に転売していたことが、警視庁新宿署の調べでわかった。

 男たちは中国人から携帯電話の機種を指定され、1台1万5000円程度で売り渡していたという。日本製はデザイン性の高さから中国では高値で取引されており、新宿署は、中国の犯罪グループが、ICチップを差し替えれば中国でも利用できることに目を付け、機種本体だけを買いあさっていたとみて、背後関係を調べている。

 携帯電話の販売代理店から携帯電話をだまし取ったとして、詐欺容疑などで新宿署に逮捕されたのは、東京都新宿区新宿の無職渡辺与四郎(51)、墨田区東向島、無職小山内和之(38)、住所不定、職業不詳秋山智史(27)の3容疑者。

 調べによると、渡辺容疑者らは今年8月27日、新宿区と目黒区の販売代理店に、実在する会計事務所や映像制作会社の偽造印などを持ち込み、これらの法人名義で契約すると偽って、シャープ製などソフトバンクモバイルの携帯電話計6台をだまし取った疑い。

 渡辺容疑者はこの直前、犯罪仲間を募るインターネット上のサイト「闇の職業安定所」(現在は閉鎖)に「一緒にやらないか」などと書き込み、これに応じた小山内容疑者が契約に必要な印鑑を偽造、秋山容疑者が社員になりすまして販売代理店を訪れていた。

 渡辺容疑者の供述によると、同容疑者は、新宿・大久保で知り合った中国人に、携帯電話の人気機種4機種を指定され、それを小山内、秋山両容疑者に伝えたうえで、2人が契約した携帯電話を1台6000〜9000円で買い取ると、電話番号などを記録したICチップ「SIMカード」を抜き取って、中国人に1台1万5000円前後で転売していたという。同容疑者は「8月だけで3人で20回ぐらいやった」とも供述しており、少なくとも40台を同じ手口で詐取して転売したとみられる。

 SIMカードは高速通信が可能な第3世代携帯に組み込まれているICチップで、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル両社の場合、SIMカードのロックを解除すればカードを差し替えるだけで他社の回線を利用することができる。

 海外でも地元の携帯電話会社の回線の利用が可能で、「白ロム」と呼ばれるカードを抜いた携帯電話はネットオークションなどで盛んに取引されているが、国内の携帯電話各社は、携帯電話の契約時に本体の価格を割安にする一方、その分を通信料で補っているため、「白ロム」の闇取引が横行すると、大きな損失を被ることになる。

 中国でも、デザインや機能性に優れた日本製の最新機種が若者らに人気で、正規の輸入品は1台7万〜8万円もの高値で取引されていることから、新宿署は、渡辺容疑者らから携帯電話を買い取った中国人が、現地で最新機種を売りさばいたとみて、この中国人の割り出しなどを進めている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071011i410.htm