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2007年10月09日(火) 09時05分

NOVA中途解約の返金進まず、給料遅配も続く読売新聞

 不適切な勧誘方法などを巡り、経済産業省から行政処分を受けた英会話学校最大手「NOVA」(猿橋望社長、大阪市)で、中途解約した受講生への返金や従業員などへの給料の支払いの遅れが続いている。

 給料の遅配は7月から始まり、地元の大阪中央労働基準監督署から4回にわたって是正勧告を受けた。同社は9月末までに首都圏や大阪府内など約50か所の教室を閉鎖、テレビCMの回数もぐっと減らすなど“拡大路線”から180度の方針転換が鮮明になっている。

 NOVAは契約時に将来、受講する予定のレッスン料を前払いするシステムをとっているため、中途解約時に多額の返金が生じるケースがある。

 同社によると、中途解約時に受講生に不利な清算方法をとっていたことを違法とする最高裁判決が今年4月に出てから、中途解約が急増。3月末の受講生は41万8000人だが、4〜6月の中途解約件数は7880件で、返金総額は16億2200万円に上った。

 6月には、いつでもレッスンの予約がとれるとする虚偽の説明や、入学金免除のキャンペーンで誇大広告などの特定商取引法違反があったとして、経産省から一部業務の停止を命じられ、その後も中途解約の申し出が続いている。

 東京都内の消費者センターには6月から、「解約したが、3か月以上たっても返金されない」といった苦情・相談が少なくとも数十件あった。全国の消費者センターにも同様の相談が相次いでいるという。

 クレジット契約の分割払いでレッスン料を支払っている人は未受講分が返金されない場合、クレジット会社の請求を拒否できるが、現金で前払いした場合は返金を待つ以外にない。

 中途解約に伴う返金の期限に法的な定めはないものの、都はできる限り早く返金するよう同社を指導している。外国人講師らが加盟する「全国一般労働組合東京南部」(東京都港区)と「ゼネラルユニオン」(大阪市)も9日、すみやかな返金をNOVAに指導するよう経産省に申し入れる。

 一方、約2000人の日本人従業員に対する給与の遅配は7月分から始まり、9月は約5000人の外国人講師も遅れた。

 近畿地方で働く外国人の幹部講師は、「NOVAが借り上げマンションの家賃を滞納しているために、大家から退去を迫られている講師がいる」と明かす。

 都内の教室で働く20歳代の日本人従業員は、「給料の遅れの理由を本部に問い合わせても『わからない』と言われるだけ。教室閉鎖や中途解約の返金の遅れについても十分な情報がなく、受講生への説明にも苦労している」と話した。

 NOVAでは教室の統廃合を進める一方で、うさぎのキャラクターを使って、受講生集めの原動力になってきたテレビCMも自粛。今年7月以降は猿橋社長や関連会社の「ノヴァ企画」が保有する株を担保に入れて投資ファンドから融資を受けるなどしており、調達した資金を講師や従業員への給与の支払いなどに充てているとみられる。

 NOVA統括本部では、中途解約の返金が遅れていることについて、「解約の事務処理手続きが膨大なため」と説明。「会社として不安な情報が出ていることは申し訳ない」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071009i202.htm