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2007年10月09日(火) 13時49分

年金記録漏れ5千万件、保険料納付は2兆超す試算読売新聞

 社会保険庁は9日、5000万件に上る該当者不明の年金記録漏れ問題で、保険料の納付総額について「機械的に計算すれば2兆3500億円になる」との試算を明らかにした。

 150件の年金記録をサンプル調査した結果、1件当たりの保険料が平均約4万7213円になることから算出した。ただ、社保庁は「サンプル調査は無作為抽出ではない」として、統計学的に実態を正確に反映したものではない、と説明している。

 社保庁が年金給付に結び付いていない保険料の納付額を示したのは初めて。9日に開かれた民主党の厚生労働・総務部門合同会議で社保庁が提示した。

 社保庁は約5000万件の記録のうち、氏名の記載がないなど欠陥があった約524万件から1000件をサンプル調査。この中で東京社会保険事務局分の150件について、民主党の求めで保険料納付額を明らかにした。

 それによると、150件の保険料の納付総額は計708万1966円で、納付月数は計5527か月。平均納付月数は約37か月になる。

 保険料を納付した人の一部は、年金受給年齢に達していないと見られるが、民主党は多額の年金未払いが発生している可能性があると指摘している。これに対し、社保庁は自らが示した、2兆3500億円の試算について、「高めの数字だ」としている。理由については〈1〉150件は厚生年金の記録だが、5000万件のうちの約1100万件は保険料の低い国民年金が占めている〈2〉150件は東京都内の記録であり、他の地域に比べて賃金や保険料が高い——ことなどを挙げている。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071009it05.htm?from=navr