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2007年10月08日(月) 19時21分

三重・木曽岬町長、クレーマーに15万円無利子で貸与朝日新聞

 固定資産税の滞納で貯金を差し押さえられたために、町職員の自宅や役場を繰り返し訪れて、差し押さえをやめるよう要求していた男性に対し、三重県木曽岬町の平野勲町長(64)が15万円を無利子で貸していたことが分かった。町長は男性に対し、差し押さえについて今後は口にせず、男性がしていた公文書開示請求についても取り下げるよう約束する誓約書を出させていた。町長は「職員が困っていたのでやむを得なかった」とし、男性の行為は不当要求に当たるとして告訴を検討しているという。

 8日に記者会見した平野町長によると、町長が現金を貸したのは町内在住の59歳の男性。男性は町に対する不満から、02、06年度の固定資産税計約9万7000円を滞納。督促しても支払わなかったため、町は8月、延滞金と合わせて約15万円を男性の貯金から差し押さえた。

 男性は町役場のほか、町長や職員の自宅を何度も訪れて「差し押さえを取りやめろ」「金を返せ」と要求。「05年の町長選で出回った怪文書」を町に公開するよう求める公文書開示請求をし、差し押さえ処分に対する異議申し立てもした。

 その後、男性は町長や職員に「金を貸して欲しい」と言ってきたため、町長は9月7日、町長室で男性にポケットマネーから現金15万円を渡したという。その際、平野町長は男性から、差し押さえについて一切口にしないことや、公文書開示請求の取り下げを約束させる誓約書を出させた。

 平野町長は「決していい対応だったとは思っていない。誓約書については、破棄を検討している」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/1008/NGY200710080013.html