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2007年10月08日(月) 23時52分

<伊豫商事>400億円返済不能 全農の保証書偽造か 岡山毎日新聞

 岡山市の紙製品会社「伊豫(いよ)商事」が虚偽の債務保証書などを作成、金融機関から35億円の融資を引き出した詐欺容疑事件があり、同社が大手2行を含む計6行から総額約400億円の融資を受け、大半が返済不能に陥っていることが分かった。同社の主要取引先の全国農業協同組合連合会(全農)名義の債務保証書を偽造していた疑いもあり、岡山地検が融資の実態解明を進めている。
 調べなどによると、同社は今年3月までに、みずほ銀行、三井住友銀行、中国銀行、広島銀行など6行から計約400億円を借り入れていた。大半は返済期限が1年以内の短期借り入れで、融資申し込みの際に「全農が保証する」とした全農理事長名義の保証書を偽造、提出していたとみられる。取材に対し全農広報部は「取引先の融資を保証することは一切ない。(債務保証について)金融機関から確認は無かった」としている。
 同社は設立当初の75年から全農と取引を開始。主にティッシュペーパーなどの紙製品を卸し、全農との取引が全体の約95%を占めていたという。全農によると近年は取引が減少傾向で、年間約6億円程度だったという。
 同社は9月に約380億円の負債を抱えて岡山地裁に破産手続きの開始を申請。民間信用調査機関によると、07年3月期売上高を約810億円としていたが、「実際は約7億〜8億円」(関係者)といい、業績を好調に見せかけるため決算を粉飾した可能性もある。
 同地検は先月12日、同商事役員、大島敏昭(59)▽関連会社「大喜」社長、西田嘉幸(48)ら5容疑者を有印公文書偽造、同行使の疑いで逮捕。今月2日、債務保証書を偽造して融資を受けた詐欺の疑いで大島容疑者らを再逮捕、新たに同商事役員、鮫島力男容疑者(59)を逮捕している。
 また、西田容疑者が社長を務める仙台市のゴルフ場管理会社「ビックライザックカントリー倶楽部」も家宅捜索し、融資の流れを捜査している。同ゴルフ場は歌手の千昌夫さんが経営に参加、99年に手放した後、01年に大喜が購入。プロツアーも開催されている。【石戸諭、植田憲尚】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071008-00000061-mai-soci