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2007年10月08日(月) 11時21分

人身売買容疑で女2人逮捕へ 松本の台湾籍スナック経営者ら東京新聞

 長野県警安曇野、松本両署と生安特捜隊などは、タイ人女性を営利目的で売買したとして、人身売買の疑いで、同県松本市の台湾籍のスナック経営者ら女二人を八日にも逮捕する方針を固めた。女性をタイから入国させた五十代の男=本籍東京都=も同容疑で逮捕状を取った。県警は、背後に数千万円以上の利益を上げた組織があるとみて、全容解明に力を入れる。

 人身売買容疑(営利目的買い受け、売り渡し)で逮捕されるのは、既に風営法違反などで起訴されている松本市大手二、台湾籍のスナック経営郭菊(47)、同市島立、タイ国籍の無職カムキアウ・ベンジャポーン(32)の両被告。

 調べでは、郭被告は今年五月ごろ、同市内で経営するスナックの客らを相手に売春させる目的で、ベンジャポーン被告から二十代のタイ人女性を二百数十万円で買った疑い。ベンジャポーン被告は売った疑い。

 タイ人女性は、五十代の男に連れられて入国。ベンジャポーン被告に引き渡された。男は、偽パスポートなどを用意して女性を渡航させる海外の人身売買組織のブローカーとみられる。タイなどに潜伏している可能性があり、行方を追っている。

 県警などによると、この人身売買組織は、数年前から長野県内のスナックなどに数十人の外国人女性を売り、数千万円以上を稼いでいた可能性があるという。男とベンジャポーン被告は組織の一員とみられ、日本と海外の連絡、調整役だったらしい。今年六月にタイ人女性が大使館に通報し、県警が保護したことから事件が発覚。女性は、渡航金などの名目で多額の借金を背負わされ、郭被告の店で売春を強要されていた。

 人身売買罪は、外国人女性に売春などを強要させる事件が後を絶たず、人身取引への対応の遅れが国際的にも非難を浴びたことから、二〇〇五年七月施行の改正刑法で新設された。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100890074744.html