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2007年10月06日(土) 15時02分

L&G、会場費3億円未払い バザーや歌手公演朝日新聞

 健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」による出資法違反容疑事件で、同社が会員らを集めて開いた全国大会や説明会の会場代などを5月から、旅行会社に支払っていないことが分かった。未払い額は計約3億円にのぼる。支払いが滞った当時、同社はすでに破綻(はたん)状態だったとみられるが、その後も資金集めを続けており、警視庁と宮城、福島両県警の合同捜査本部は詐欺容疑も視野に捜査している。

 L&Gは高配当をうたった投資商品を扱い始めた01年ごろから全国大会を毎年2回ずつ開催。コンサートや疑似通貨「円天」を使った大規模なバザーを開き、会員拡大につなげてきた。また、会員向けの説明会も週1回程度各地で開いてきた。

 大手旅行会社「日本旅行」によると、L&Gは01年から、全国大会や説明会の会場確保や、会員が使う鉄道やバス、飛行機の切符の手配などを日本旅行に発注。1カ月分の代金をまとめて翌々月に払う契約だった。

 全国大会は千葉県浦安市の舞浜や横浜市の高級ホテルが会場で、1回の契約額は約1億円にのぼった。昨年6月には、東京の両国国技館で5日間に及ぶイベントを開き、多数の大物歌手を招いてコンサートを開催。この際の契約額は、歌手の出演料を除いても1億5000万円だったという。

 L&Gから日本旅行への支払いは今年4月までは、ほとんど遅れることはなかった。ところが、3月分の支払い締め切り日の5月10日にL&Gの経理担当役員が日本旅行の支店を訪れ、「資金繰りが厳しいので6月まで待ってほしい」と要請。しかし6月になっても支払われず、電話で再三問い合わせると「7月には払う」と繰り返すばかりだった。支払いが滞ったため、日本旅行はL&Gからの受注を中止した。

 日本旅行は7月下旬、L&Gと関連会社を相手取り、賠償金を求めて提訴。L&G側は口頭弁論に出ず、東京地裁は今月2日、L&G側に全額支払うよう命じた。

 同社を提訴した会員の代理人を務めた弁護士の調べでは、同社の預金口座の残高は5月時点で約5500万円しかなく、すでに破綻状態だったとみられる。そうした中で同社は、1口100万円で月利1%をうたう「円天共鳴金」や、年利24%を掲げる関連会社の「社債」などを通じた新たな資金集めを始めていた。

http://www.asahi.com/national/update/1005/TKY200710050399.html