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2007年10月06日(土) 17時24分

円天、「加盟店制」も破綻 売り上げを換金できず朝日新聞

 健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区)による出資法違反容疑事件で、会員が疑似通貨で買い物する「円天市場」の小売店に、同社が現金を支払う仕組みが今年8月までに破綻(はたん)していたことがわかった。L&Gから会員への元金返済や配当は今年初めから滞っているが、小売店が疑似通貨の円天と引き換えに受け取れる多額の現金も未払いになっている。

円天の仕組み

 L&Gは「円天市場」を始めた05年ごろから小売店を募集した。L&Gの会員になったうえで、各地のイベント会場や銀座の商業ビルで、高級品から食料品まで幅広い商品を扱う店を出していた。同社はホームページで「1100店超が登録」としていたが、「実働は200店程度」との幹部の証言もある。

 L&Gが会員に現金での配当停止を通知した今年1月、同社は小売店を「円天加盟店」として制度化。加盟店は、購入者から受け取る円天の25%をL&Gから現金で受け取る仕組みを導入した。

 これ以降、加盟店は、円天市場に出品する際、本来の4倍以上の円天価格を付けるようになった。横浜市の70代の女性会員は「普通の服が何十万円天もした」と話す。

 関東地方でクリーニング店を経営する男性(52)は今年2月、加盟店になった。昨年11月、古参会員の紹介で会員になり、「100万円を預ければ年利36%」とうたった「協力金」1口を振り込んでいた。店の客には会員が6人おり、会員からは支払いを円天で受けた。ワイシャツ1枚のクリーニング代は250円だが、会員からは1000円天という具合だ。

 加盟店に登録した当初はL&Gから現金が振り込まれたが、8月に突然振り込みが止まった。男性は「円天に対するL&Gからの未払いは約30万円だけだが、協力金の100万円はどうなるのか」と話す。

 東北地方で着物店を経営する女性(53)は05年10月、友人の紹介で会員になり、同年12月、小売店になった。当初は着物や帯を仕入れの2倍以上の値段で出品しようとすると、L&Gや古参会員からもっと安くするよう指導されたという。

 今年6月、L&Gからの現金振り込みが止まり、300万円が支払われていない。約400万円天も手元に残った。

 L&Gは家宅捜索前の朝日新聞の取材に対し、「加盟店への現金支払いは8月から停止している」としていた。

http://www.asahi.com/national/update/1006/TKY200710060148.html