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2007年10月05日(金) 17時58分

社内用語、言い方変更 配当停止前後 L&G社朝日新聞

 健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」による出資法違反容疑事件で、同社が今年1月に会員への配当を停止する前後から、会員を「株主社員」、利息を「役務手当」、勧誘行為を「仕事」と言い換えていたことが分かった。同法は、配当を伴って不特定多数から資金を集めることを禁じており、警視庁と宮城、福島両県警の合同捜査本部は、摘発を回避する狙いがあった疑いがあるとみて経緯を調べている。

 調べでは、L&Gは「100万円を預ければ年利36%」とする高配当や疑似通貨「円天」を売り物に、資金を集めてきた。しかし、資金繰りに行き詰まり、今年1月に現金での配当の停止を決定し、「円天」に切り替えた。

 L&G関係者によると、この前後から、同社内や、会員向けの文書などで用語を言い換え始めた。「あかり会員」と呼んでいた出資者は「株主社員」と呼ぶことが多くなった。会員が現金を振り込んだ際に交付する預かり証では、配当を支払う「利息振込日」の表記が「役務手当振込日」に変更。出資金に対する配当ではなく、会員が同社の仕事をしたことに対する報酬であるかのような表現になった。

 会員向けの文書でも、警察による摘発を意識した記述が増えていく。1月には、38ページに及ぶQ&A形式の冊子を会員向けに作成し、その中で、「L&Gは出資法違反という専門家もいますが」との質問を掲げ、「不特定多数から金を集めているように見えるが、特定多数の株主社員の社内貯金的性格なので違法ではない」と回答。現金での配当を停止し、円天に切り替えた理由については「給料分の仕事をしていない株主社員が多いからだ」と説明した。

 L&Gは強制捜査前の9月26日、会員を対象にした説明会を開催。出席した人によると、波和二(なみ・かずつぎ)会長は「警察の予算は限られているので会社がやられる(捜査を受ける)ことはない」と話したという。

 警視庁などは、会員からの相談が寄せられたことなどから、数年前にはL&Gに関する情報収集を開始。1月の配当停止後から内偵捜査を本格化させていた。

http://www.asahi.com/national/update/1005/TKY200710050162.html