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2007年10月04日(木) 03時00分

L&G「配当→役務手当」と言い換え、出資法違反逃れか読売新聞

 「円天」と呼ばれる独自通貨や高額の配当を宣伝材料に、5万人の会員から総額1000億円に上るとみられる「協力金」を集めていた「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京・新宿)が今年1月ごろから、会員に支払う配当を「役務手当」と言い換え、会員が新規の会員を勧誘する行為も、「仕事だ」と強調していたことがわかった。

 配当を、労働の対価と装うことで、利息の支払いを約束して資金を預かることを禁じた出資法違反での摘発を免れようとしたとみられる。警視庁は3日、波和二(かずつぎ)会長(74)を任意で事情聴取するなど、こうした偽装工作の実態解明を進めている。

 警視庁の調べによると、同社は、年利36%の高配当や「円天」の支給と引き換えに、会員から1口100万円の「協力金」を募っていたが、新規の会員集めが頭打ちになった昨年末ごろから資金繰りが急速に悪化し、今年1月になると会員への配当が滞り始めた。

 このため同社には苦情が殺到し、波会長ら同社幹部はこのころから、各地の説明会で「あなたたちは会員ではなく、株主社員だ」「あなたたちに支払っているのは役務手当で、会員を新規に勧誘する仕事をしなければ役務手当は支払えない」と繰り返すようになった。

 さらに3月以降になると、波会長らは会員たちに向かって「L&Gを投資会社と勘違いして、配当を目当てにしている人が多いが、うちはあくまで物品販売会社だ」などと強調。会員に発行する預かり証も、配当を支払う「利息振込日」という表記を「役務手当振込日」と書き換えていた。

 出資法では、金融業の許可がないまま、元本保証や配当を約束して不特定多数から現金を預かることを禁じており、同社は、配当がストップして破たん状態に陥った場合、摘発される可能性が高いことから、配当や利息などの表記を使うのを中止したとみられる。

 警視庁は同法違反だけでなく、詐欺容疑での立件も目指し、3日の同社本社などの捜索で押収した経理資料の分析を急いでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071004it01.htm