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2007年10月04日(木) 03時04分

<移転価格税制>追徴回避へ「事前確認」申請が105件も毎日新聞

 海外への所得移転を防止する「移転価格税制」の追徴課税を回避するための「事前確認」の申請が、今年6月までの1年間(06事務年度)で105件(前年比13件増)に上り、過去最高になったことが国税庁のまとめで分かった。同税制による巨額追徴が相次いでいることに企業が警戒感を強めていることに加え、米国の会計基準が変更され、将来予測される自社の追徴税額を決算で公表しなければならなくなり、対象となる日本企業が申請数を増やしたとみられる。
 移転価格税制は、企業が海外子会社との取引価格を安くするなどし、不当に所得を海外に移した場合、その所得に国内でも課税する制度。同じ所得には海外でも課税されており「二重課税」となる。しかし、取引価格の妥当性を国税庁に照会する「事前確認」を申請することで、追徴課税が避けられることから、事前確認の申請数は10年間で約6倍に増えた。
 前年度は、同税制が119件に適用され、申告漏れ総額は約2836億円で、いずれも過去最高を記録したことから、企業が事前確認の申請を増やしたとみられる。
 また、米国では昨年7月に会計基準の指針「法人所得税の不確実性に関する会計処理」(FIN48)が公表され、企業は今年12月期決算から、将来の税務調査で否認される可能性が50%以上あると判断した取引について、予想される追徴税額を自ら公表しなければならなくなる。
 日本企業でFIN48の対象となるのは、トヨタ、ソニー、キヤノンなど米国で上場する19社など計約40社。ほとんどが国際展開する企業で、事前確認によって将来、追徴課税されるリスクを避ける狙いがあるとみられる。【高島博之】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071004-00000018-mai-soci