「京都の事件の後、長野県でも斧（おの）を使った事件が起きた。一般的に、斧を凶器に使った事件が頻発するものではない。連続殺人が起きる作品であることやゲームソフトの内容をふまえ、また事件関係者が同番組を見る可能性があることを考えると、事件を想起させる。ワンクールが終わったこともあり、休止とした。同番組には様々な意見もあり、結果として楽しみにしている視聴者を裏切ることになった」

　と中止の理由を説明する。同局は休止のアナウンス直後から、「放送をやめないで」とのメールが多く、通常の反応よりも多い150件の声が寄せられた。

　各局が番組放送休止を決めるきっかけになったのは、9月18日、京都府京田辺市内で起きた、少女（16）が警察官の父親（45）を斧で殺害した事件。逮捕された少女は「父親の女性関係が嫌だった」「この世から消えてしまえばいいのに」などと話しているが、同番組との関連する供述などはない。

　続いて、長野県上伊那郡辰野町でも9月24日、少年（15）が無職の父親（44）にけがを負わせた事件があった。少年は「父親を斧でたたいた」などと供述、凶器が斧だったことがわかっている。父親の命に別状はなかった。

　京都の事件直後から放送を休止中の東海テレビでも再開の見通しは立っていない。

■「因果関係が証明されていない」と放送続行

　一方、事件のあった京都府内のテレビ局、KBS京都は一時、放送を休止したが、10月5日深夜、13話を放送する予定。また、サンテレビ（神戸）でも、「粛々と予定通りに放送していくつもりだ」といい、14話を8日（月曜深夜）に放送する予定。

　「今のところ、京都の事件との因果関係が証明されているわけではない。他局の状況も考慮したが、制作委員会側が一部配慮して修正をしたことから、放送に踏み切ってる」

　と同社。反響としては、9割以上が「放送をやめないで」「放送してくれてありがとう」といった、放送を肯定する意見だったという。

　斧を使った殺人は、今月に入っても続き、10月3日には千葉県野田市で、無職の男性（59）が同居の母親（82）を斧で殺害する事件があった。地元の千葉テレビでは放送を続ける予定。

　「京都の事件があったあとに、『School Days』を休止にした。事件直後ということ、事件を想起させるシーンがあること、遺族感情に配慮したことが理由だった。作品そのものが犯罪を誘引したと考えたわけではない。『ひぐらしのなく頃に解』では、製作段階で、できるだけ残虐性を強調することは避けていると、判断。今回の千葉の事件でも検討したが、『School Days』を休止したときのようなケースではないと判断した」

　同局にもファンから「楽しみにしているので、放送をやめないでほしい」との声が「通常よりも多い数であった」という。

(記者：渋井 哲也)

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